レーザー・IPL(フラッシュ)脱毛の仕組み

現在主流の脱毛法はレーザーなどの光を使った脱毛技術を使って毛の元となる細胞(幹細胞)を熱ダメージで脱毛する方法です。この記事ではなぜ光を当てると脱毛が起こるのか医学論文を参照しながら考察してみたいと思います。

レーザーやIPLはどこをターゲットとして熱を加えているのか?

レーザー脱毛をするためには使用する光の波長が一定範囲になっている理由があります。それは毛の『メラニン色素』が吸収する波長の範囲が決まっているからです。レーザーやIPL(フラッシュランプ)脱毛は毛根の毛を作っている毛母細胞に熱ダメージを与え[1]周囲の真皮や上皮細胞にはダメージを与えないように考えられた脱毛法で安全性が高いとされる理由でもあります。

同時に毛穴から約1~2mmの深さの場所(バルジ領域)にある毛を再成長させる基となる細胞(幹細胞にも熱ダメージを加える脱毛のルートもあります[1]。メラニン色素が吸収する波長は600~1100nmであるため短い波長のルビーレーザーから使用が可能になります[2][3]。

ルビーレーザーから分かること

現在はあまり脱毛に使用されることはありませんが、歴史的な意味をもっているルビーレーザーによる脱毛処置の報告ではレーザーを照射するとエネルギーの大部分が皮膚表面の最初の1mm以内でその50%が失われたとされています[2]。そして波長が短いため浅いところ(約1.5mm)までしか届かず[3]、現在の主流のレーザーではなくなっています。ルビーレーザーは幹細胞がいるバルジ領域には到達できるのですが、重要な毛包の細胞には届きにくいため脱毛効果が弱いのです。

レーザーやIPLが安全に脱毛できるしくみ

選択的熱分解

以上に述べたような脱毛の仕組みは『選択的熱分解(融解)』とよばれています[4]。メラニン色素が多く黒い組織、つまり毛だけに光の熱を加えてその周囲の組織は安全に守るという脱毛システムだからです。

熱緩和時間

光を使った脱毛が安全である仕組みはもう一つあり『熱緩和時間(thermal relaxation time)』と呼ばれる概念です[4]。これは組織ごとに熱をため込んでおける時間が異なりその一定の時間を超えて熱を加え続けると熱を放出して解放するという概念です。これを光脱毛に応用した場合、毛包の熱緩和時間を超えると周囲の真皮組織や上皮細胞がやられてしまうため毛包の熱緩和時間を超えない範囲の照射時間とすることで安全性を高められるということになります。そのためほとんどのレーザー脱毛システムでは、2~50msecの放出パルス持続時間に設定されるようになっています[4]。

まとめると、レーザーやIPLといった現在主流の脱毛技術で脱毛が可能なのは熱エネルギーで毛包や幹細胞にダメージをあたえるためでメラニン色素に多く熱ダメージを加えるような波長や周囲に熱ダメージを及ぼさない時間設定の配慮がなされているため安全性も高い脱毛法となっているということになります。

【参考文献】

  1. Epilation today: physiology of the hair follicle and clinical photo-epilation. Mandt N et al., J Investig Dermatol Symp Proc. 2005 Dec;10(3):271-4.

  2. Does low penetration of human skin by the normal mode ruby laser account for poor permanent depilatory success rates? Topping A et al., Lasers Med Sci. 2001;16(3):224-9.
  3. The effect of ruby laser light on ex vivo hair follicles: clinical implications. Liew SH et al., Ann Plast Surg. 1999 Mar;42(3):249-54.

  4. Evaluation of a new super-long-pulsed 810 nm diode laser for the removal of unwanted hair: the concept of thermal damage time. Rogachefsky AS et al., Dermatol Surg. 2002 May;28(5):410-4.

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