毛の成長は上に伸びるだけでなく下にも伸びていきます。この記事では毛の成長サイクルを医学論文を参照しながら考察していくことにします。
毛の成長サイクル
まず一般的に毛の成長サイクルは3つの状態に区別されます①『成長期・anagen』、②『退行期・catagen』、③『休止期・telogen』です。
毛の成長は幹細胞が細胞分裂することでのびていきます。毛の幹細胞は『バルジ領域』という立毛筋が毛穴に結合する部位に集合しており、皮膚がケガなどで傷ができた時にもこのバルジ領域から幹細胞が出動して修復していきます。
下の図のように毛の成長サイクルの成長期(anagen)においてバルジ領域の幹細胞が下に移動していき毛包が真皮深く伸びていきます。
図の青色で示されているのが幹細胞ですが、成長期に下に降りて行って『毛乳頭』の横に集まっていきます(側盤)。毛乳頭は毛の一番下のくぼみのようになっている間質細胞で血管が豊富な領域です。
毛が成長期にあるとき毛乳頭の間質細胞が増え毛の根元(毛乳頭の上)の細胞(hair matrix)も分裂して増えていきます。やがて毛は退行期(catagen)という毛の成長がスピードダウンする時期がきます。この退行期では先ほど述べたHair Matrixの細胞が減っていきます。なぜ減るかと言うと細胞の自殺である『アポトーシス』が起こるからです[2]。
毛の根本の細胞が減っていくとこれも先ほどでてきた『側盤』と毛乳頭が近づいていくことになります。こうなると上皮由来の側盤と間葉由来の毛乳頭が相互作用するようになり新たなアクションを起こすようになります。つまり毛の一番下が上に上がっていき、側盤は毛の大元『hair germ』に変化していくのです。ちなみに側盤はhair matirixのアポトーシスで自らアポトーシスをするわけではなくとても静的で影響を受けない状態にあります(幹細胞の特徴)。どんどん上に上がっていくとバルジ領域の上皮幹細胞と毛乳頭の間質細胞が近づいていきます。ここで再度『成長期・anagen』の再開です。以降はこの繰り返しになります。
現在の最新の幹細胞と毛の成長の仕組みはこのようにバルジ領域の幹細胞の移動で毛周期が起こっていると考えられています。
毛と歯はどちらも似ていて再生医療の方法も相互に応用が可能ですので、この記事で述べたような上皮細胞と間葉細胞(線維芽細胞や免疫細胞、血管内皮細胞等)との相互作用(インターアクション)は非常に興味があるところです。
【参考文献】
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