スクワレン(squalene)は皮脂成分の一つです。同じ皮脂成分のワックスエステルと異なりスクワレンは空気中の酸素で酸化脂質となりやすく炎症を惹起するため老化の原因となります。そこで今回は皮脂中のスクワレンが肌の老化にどのように関わっているのか?スクワレンを化粧品として塗ると肌のエイジングケアになるのか医学論文を参照しながら考察してみたいと思います。
目次
スクワレン(スクアレン)は肌のエイジングケアには向かない
結論から言うとスクワレンを肌に塗ると肌の老化が加速します。以下にスクワレンがどのように肌の老化(エイジング)を加速してしまうのか解説していきます。
スクワレン(スクアレン)とは
スクワレンは多価不飽和脂肪酸で二重結合が多いため空気中の酸素で非常に酸化されやすく酸化スクワレンに変わります(Sq-OOH)。皮脂にも約13%含まれています[1]が、サメの肝油にはスクワレンが豊富に含まれていることで知られています。スクワレンと混同しやすいのが『スクワラン(squalane)』ですが、スクワランの方はスクワレンを水素添加(水添)して二重結合をなくして酸化されにくくしたオイルです。スクワレンの分子量は約410と比較的小さく、オイルですので脂溶性で皮膚から浸透しやすいオイルと考えられます。
化粧品の用途として考えられるのはスクワレンは皮脂に含まれている天然のオイルですので保湿液やメイク落とし用にクレンジングオイルとしても使用できると考えられます。
スクワレン化粧品は酸化されてニキビを増やす
スクワレンは二重結合が多いため非常に酸化されやすい油脂です。そのため紫外線や大気汚染物質、タバコの煙などによって容易に酸化されます[3]。酸化脂質は皮膚に炎症を引き起こすためニキビ(吹き出物)や肌荒れ、皮膚バリアの低下から乾燥肌や幹細胞の老化(エイジング)を引き起こします。多価不飽和脂肪酸であるスクワレンほど酸化されやすくない”一価”不飽和脂肪酸に『オレイン酸』がありますが、オリーブオイルや椿油に豊富なオレイン酸でも肌に塗ると酸化脂質に変わり酸化スクワレンと同様ニキビや吹き出物を引き起こすと報告されています[2]。
スクワレン化粧品はシミの増加とくすみを増やす
酸化されやすいスクワレンは炎症と活性酸素を肌に増やしますのでさまざまな老化現象を年齢以上に増やしていきます。例えばシミは肌のエイジングでも非常に気になるものですがスクワレンを塗ると酸化脂質に変わるためにシミが増え、角質が厚く肥厚する[4]ため”くすみ”も生じます。
スクワレンを塗り続けると皺(シワ)が増える
紫外線などでスクワレンが酸化されると活性酸素を発生する酸化脂質になるため真皮中のコラーゲン量を減らして皺を増やします[5]。先ほど述べたようにスクワレンは皮膚や毛穴から浸透すると考えられますので真皮の生きた細胞にも活性酸素を増やしていると考えられます。
まとめると皮脂にも含まれているスクワレンはたやすく酸化脂質になり炎症の原因になるため、化粧品の成分としてあえて塗ることはエイジングケアをしたかったらスクワレンは塗らないほうがよいということになります。エイジングケアを考えた場合、保湿したかったら皮脂に含まれる飽和脂肪酸の『ワックスエステル』を使うほうが年齢状の肌の老化を回避できると考えられます。
【参考文献】