年齢以上にハリが無くなったり皺が増えたりする肌の老化現象の主な原因は活性酸素による酸化です。今回はどの家庭にもある酸化しやすいオイルであるオリーブオイルやサラダ油を保湿や角栓落としなどで肌に塗ると肌の老化を加速して肌が汚くなるのではないかと興味を持ちましたので医学論文を参照しながら考察してみたいと思います。
酸化しやすいオイル(脂肪酸)とは
空気中の酸素でオイルはどんどん酸化して変色や味の変化などが起こってきます。オイルにも酸化しやすいオイルと酸化しにくいオイルがあるのをご存知ですか?酸化しにくいオイルとは皮脂やホホバオイルに含まれている『ワックスエステル』のような『飽和脂肪酸』と呼ばれる二重結合がない脂肪酸です。一方、酸化しやすいオイルはオリーブオイルや椿油に含まれている『オレイン酸』、皮脂や鮫の肝油に含まれる『スクワレン』、サラダ油やコーン油の『リノール酸』などは二重結合をもっているため酸化されやすいオイルです。
オイルが酸化すると炎症が起こる
空気中の酸素の存在とともに紫外線や大気汚染物質によってオリーブオイルやサラダ油など先ほど挙げた酸化されやすいオイルは容易に酸化脂肪酸に変わっていきます[1]。酸化脂肪酸は老化とともに増える[3]ためどのくらい肌が老化しているかの指標にもなり得るのです。その酸化脂肪酸はニキビの原因でもあり[2]毛穴や皮膚など触れている組織に炎症を起こし活性酸素を増やしていきます。特にオレイン酸などは容易に皮膚から浸透するオイルですので皮膚内で活性酸素を増やすため幹細胞の老化やコラーゲン繊維を切断するMMPというプロテアーゼを増やしてハリが無くなり皺が増えると考えられます。実際、酸化されやすい皮脂成分のスクワレンを肌に塗ると皺が増えるという報告もありますので。
ビタミンE誘導体はオイルの酸化を防止する
オリーブオイルやサラダ油を肌に塗らなくても皮脂成分中のスクワレンやリノール酸で酸化脂肪酸が増えていきますので肌のエイジングケアをしたかったらこれらのオイルが酸化しにくくなるようにすればいいわけです。ビタミンEは脂溶性でオイルに溶けやすい抗酸化剤ですので外出時に酸化されにくいビタミンE誘導体の化粧品や美容液を下地にでも塗っておくと皮脂の酸化が防止できます。また、ビタミンE誘導体は日焼け止め化粧品としても優秀で、皮膚内でビタミンEを放出して紫外線を吸収しながら細胞内にビタミンEが取り込まれることでDNAダメージを軽減してくれる成分なのです。
まとめると、台所にあるオリーブオイルやサラダ油で保湿や鼻の角栓ケアをするとどんどんニキビや皺が増えて肌の老化が加速するということになります。保湿をするなら飽和脂肪酸であるホホバオイルのワックスエステルを使うことがエイジングケアの観点からはおすすめです。
【参考文献】