幹細胞から分泌される因子を塗ると肌のエイジングケアになるか?

幹細胞はエイジングケアを考えるうえで非常に重要な細胞です。なぜなら幹細胞の老化はハリがなくなり皺が増える原因になるからです。若い幹細胞と老化した幹細胞で分泌する物質(サイトカイン)が異なることが判明しています。そこで今回は幹細胞が分泌する物質(エキス)を肌に塗るとエイジングケアになるのか医学論文を参照しながら考察してみたいと思います。

幹細胞から分泌されるサイトカイン

幹細胞は分化した上皮細胞や線維芽細胞などの肌細胞とは異なる物質を分泌するという特徴があります。幹細胞由来の分泌物質には多種のインターロイキン(IL)やEGFなどの成長因子(GF)があります[1]。これらのサイトカインはタンパク質であり分子量が非常に大きいため皮膚に塗っても通常は浸透しにくい成分です。皮膚から化粧品配合成分が浸透するためには条件がありまして①分子量が500程度以下であること②親油性があることです。幹細胞由来のエキスに含まれるこれらILやGFなどはすべて数千レベルの高分子量ですのでそのまま肌に塗布してもほとんど肌から入らないことになります。ですのでこれら成長因子などを皮膚に取り入れるにはメソセラピーに代表される針を使って注射したり、皮膚バリアを壊すため乳化剤をつかって乳化されたクリームや乳液といったエマルジョンに配合しているのです。ただ日常的に合成界面活性剤や乳化剤を体に塗っていると肌が年齢上に老化しますので正しいエイジングケアをするならなるべく合成界面活性剤や乳化製品を日常生活から減らしていくべきです。

老化した幹細胞は別のサイトカインを分泌する

記事の最初にも述べたように幹細胞は日々紫外線や化粧品由来の活性酸素が増えると細胞のDNAにダメージを受け続け老化細胞になって永久に分裂しなくなりこれまでと異なるサイトカインを分泌するようになります(SASP現象)。老化した細胞は炎症性サイトカインやコラーゲン繊維を減らしていくMMPなどのプロテアーゼを分泌するように変わってしまうため、周囲の組織まで老化を加速するようになるのです。ですので高齢の幹細胞由来エキスを注射するとエイジングが加速すると考えられます。

幹細胞由来エキスを注射すると肌の若返り効果がある

先ほども述べたように分子量が数千もある幹細胞エキスは肌から塗っても大きすぎて浸透しにくいのですが注射したり傷があると生きた皮膚細胞に幹細胞エキスが触れることになります。胎盤の柔毛[1][2]や脂肪組織[3]から得られた幹細胞エキスが注射や傷から生きた細胞に触れると日光老化した上皮や真皮のコラーゲン線維を増やす効果があるためハリの回復と皺(しわ)が減る[5]ため肌の老化を回復します。

さらに、幹細胞由来エキスには抗酸化作用があるため注射で皮膚内の生きた細胞にとどけられれば老化の原因である活性酸素を低減する効果がある[4]ため年齢以上の老化予防にもなると考えられます。

【参考文献】

  1. Regenerative and reparative effects of human chorion-derived stem cell conditioned medium on photo-aged epidermal cells. Li Q et al., Cell Cycle. 2016;15(8):1144-55. doi: 10.1080/15384101.2016.1158376.

  2. Secretory factors of human chorion-derived stem cells enhance activation of human fibroblasts. Kim MK et al., Cytotherapy. 2015 Mar;17(3):301-9. doi: 10.1016/j.jcyt.2014.10.007.

  3. Wound healing effect of adipose-derived stem cells: a critical role of secretory factors on human dermal fibroblasts. Kim WS et al., J Dermatol Sci. 2007 Oct;48(1):15-24. Epub 2007 Jul 23.

  4. Evidence supporting antioxidant action of adipose-derived stem cells: protection of human dermal fibroblasts from oxidative stress. Kim WS et al., J Dermatol Sci. 2008 Feb;49(2):133-42. Epub 2007 Sep 17.

  5. Antiwrinkle effect of adipose-derived stem cell: activation of dermal fibroblast by secretory factors. Kim WS et al., J Dermatol Sci. 2009 Feb;53(2):96-102. doi: 10.1016/j.jdermsci.2008.08.007. Epub 2008 Oct 1.

理想的な肌のエイジングケアを実践するために、このサイトで主張してきたエイジングケアの医学知識をすべて満たしたオリジナルブランド『オーソブルーム』を開発しました。合成界面活性剤を使わずパラベンなどの合成防腐剤不使用で、合成着色剤も不使用とエイジングケアの基本を満たしながら洗顔や保湿、クレンジング、ハリを得るためのエイジングケア美容液などをラインアップしました。公式サイトはこちら⇒    
『いつまでも顔やスマイルを健康で美しく保ってほしい』年齢以上の老化をしたくない人のために老化の医学に基づいて開発した無添加エイジングケア基礎化粧品『オーソブルーム™』公式サイト

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする