皮膚には見えないけれども細菌がたくさん住んでいます。この皮膚常在菌は皮膚の細胞とともに免疫機能の一部です。常在菌の中にも肌に良い菌と悪い菌が住んでおり悪玉菌である黄色ブドウ球菌は健康な肌に炎症を起こす菌です。身近なわかりやすいところでは、皮膚バリア構造が破壊されているアトピーの人の皮膚には病原性細菌の黄色ブドウ球菌(S.aureus)が約9割の患者さんに見つかり繁殖していることが知られています。
今回はこの黄色ブドウ球菌が皮膚バリアを壊す仕組みをもっと詳しく知りたいと思いましたので医学論文で調べてみました。
皮膚バリア機能が低下すると黄色ブドウ球菌が繁殖する
黄色ブドウ球菌は角質バリア機能を低下させる肌の病原菌であり、防腐剤や抗菌剤の多用で薬剤耐性などDNAを変化させて細菌の病原性を高めます。さらに黄色ブドウ球菌の繁殖は皮膚バリア機能が壊されることによって促進されます[1]。皮膚は免疫機能そのものですので免疫システムが破壊されると病原菌はやりたい放題になることは容易に推測できます。この角質バリア機能が壊される原因にはいくつかありますがスキンケアで乳化剤、特に合成界面活性剤を含む化粧品、例えばクレンジング液やシャンプー、リンス、クリームや乳液といったエマルジョン化粧品を毎日長期間皮膚に接触させるほど皮膚バリア機能の低下が進みますので黄色ブドウ球菌が繁殖して炎症が起き年齢以上に肌が老化することになります。
皮膚の細菌叢は免疫細胞(T-cell)が正常に異物を認識して免疫行動をするために必須[6]なことが報告されています。
黄色ブドウ球菌は保湿成分を減らす
さて黄色ブドウ球菌は皮膚バリアが壊れることで繁殖するだけでなく皮膚バリア機能を低下させることが知られています。例えば角質の天然保湿成分(NMF)はフィラグリンが分解されてできますが黄色ブドウ球菌はフィラグリンを減らします[2]。つまり現代社会では界面活性剤の多用で皮膚バリアが溶かされるだけでなく黄色ブドウ球菌の繁殖によっても乾燥肌になっていることが示唆されます。お互いに悪化させるため負のスパイラルと言えるでしょう。
黄色ブドウ球菌は炎症を惹起する
黄色ブドウ球菌はIl-6という炎症性サイトカインを増やして角質細胞の分化を抑制し未分化な角質を増やします[3]。黄色ブドウ球菌は健康な皮膚の人にも炎症を発生させる細菌ですのでしわが増えたりくすんだり肌荒れが起こる病原菌です。そして黄色ブドウ球菌は皮膚常在菌ですので珍しい細菌ではないところに注意すべきです。さらに炎症性サイトカインのIL-8を角質細胞に分泌させアトピー様に皮膚炎症を引き起こす要因となっています[4]。
黄色ブドウ球菌はタンパク質分解酵素を増やす
歯周病菌もそうですがこのような病原性細菌は皮膚や粘膜のタンパク質を溶かす能力があることがあります。実際、黄色ブドウ球菌はトリプシンというプロテアーゼを角質細胞に増やしタンパク質を融解していきます[5]。トリプシンというと肉などを分解する消化酵素ですね。もし黄色ブドウ球菌が角質層に入り込んでいたら直下にある顆粒層のタイトジャンクションをこのプロテアーゼで溶かすことも推測されます。
一方の皮膚善玉菌である表皮ブドウ球菌もセリンプロテアーゼという酵素を出して黄色ブドウ球菌の足場(バイオフィルム)を分解して繁殖を制限しています[7]。
まとめると、黄色ブドウ球菌は皮膚バリア機能が低下していると繁殖する。黄色ブドウ球菌は炎症性サイトカインを増やしNMFなどの保湿成分をへらしアトピー様の炎症を皮膚に引き起こす要因。病原性細菌だけあってタンパク質分解酵素も皮膚細胞に増やす作用を持っていることです。
【参考文献 】
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