老化による肌のターンオーバーの遅れを回復させるには?

古くなった細胞が増え新しい細胞が作られなくなってくることが肌のエイジング(老化)の一つの兆候です。通常、角質細胞が垢としてはがれ落ちると皮膚の細胞が新しい細胞を作られるのですが、老化して肌の幹細胞が分裂しなくなってくると新陳代謝が低下して『ターンオーバー』が遅くなってシミや肌のくすみなどの老化現象が現れてくるのです。この記事ではエイジングケアとして遅くなったターンオーバーを回復させて肌の老化を防止する方法はないのか医学論文を参照しながら考察してみたいと思います。

正常な肌のターンオーバーとは

ターンオーバー

皮膚の細胞は一番表面に死んだ細胞『角質』が並んでその周りをセラミドなどの『細胞間脂質』で取り囲んでいます。表皮の細胞は表皮の一番下の『基底膜』から分化していき、これら角質と細胞間脂質に変わっていきます。そして『垢』や『フケ』として剥がれ落ちていくのです。

肌のターンオーバーが完了する期間は細胞ができてから剥がれ落ちるまで約28日かかります。肌が老化するとターンオーバー期間が長くなっていき古い角質が厚くなって新しい細胞が減って薄くなるのです。正常なターンオーバーは角質の死んだ細胞が剝がれると基底膜にある『幹細胞』が細胞分裂して新しい細胞を増やして減らないように調整して上皮の厚みのバランスを保っています[2]。

ターンオーバーが遅くなる原因

老化

先ほども述べましたが老化してくると基底膜に存在している幹細胞の細胞分裂が減って28日周期のターンオーバーが遅くなってきます。老化した肌の表皮は新しい角質細胞が増えず保湿に必要な成分も作られなくなっていくので角質層が厚くなり乾燥してきます。

乾燥

角質層は細菌や異物が肌に入り込まないように『角質のバリア』を作っており、死んだ角質細胞と細胞間脂質がきれいに並んでできています。さらに角質層の下の顆粒層の細胞同士をつないでいる『デスモソーム』もバリア機能の一つと考えられています。乾燥した肌はこれらの皮膚バリア機能が低下しているので肌の水分がどんどん蒸発していくため乾燥しています。高齢者でなくとも乾燥肌の人の肌はターンオーバーが遅くなっています。

紫外線

紫外線は肌の老化を加速します。紫外線の老化作用で一番影響が大きいのが幹細胞へのDNAダメージです。紫外線による炎症や活性酸素、あるいは直接幹細胞のDNAに傷をつけていくと機能が低下したり死んで数が減っていきます。近年の研究では活性酸素で幹細胞の細胞分裂が永久に停止して完全な老化細胞に変わってしまうことも報告されています。また、紫外線を浴びると先ほど説明した『デスモソーム』を分解するため乾燥にもなっていきます。

肌のターンオーバーを正常に戻すには?

保湿する

乾燥がターンオーバーを遅くするのですからまずは保湿液で肌を保湿しましょう。皮膚に活性酸素を増やさず肌を乾燥から守る保湿液の条件としては肌に塗っても酸化しにくいことが必要です。そのような成分の一つであるホホバオイルの主成分は『ワックスエステル』で酸化しにくい飽和脂肪酸でできたオイルで無色透明のきれいな天然の保湿成分です。

さらに肌に水分を補給するため水分を多く蓄えられる成分が入っていることです。例えば角質に含まれているピロリドンカルボン酸(PCA)などの『天然保湿因子(NMF)』は水分を多く保持して肌を潤す作用があります。

合成界面活性剤でできた洗顔剤やシャンプーを減らす

肌の角質バリア機能を壊すと乾燥肌になり基底膜の幹細胞が分裂しなくなってきます。スキンケアで角質バリア機能を低下させるのが乳化剤(界面活性剤)でミルク乳液やクリームにしたエマルジョンや乳化剤そのものである洗剤の多用です。乳化剤の中で一番皮膚バリアを低下させるのが合成界面活性剤です。合成界面活性剤はわかりやすく言うと台所の洗剤でいっしょで使った後は乾燥して肌荒れが起きる人が多くいることからも分かるように、合成界面活性剤は油汚れだけでなく肌の保湿成分も溶かし出す力が強烈なので乾燥肌になるのです。ですので年単位で乾燥肌になりターンオーバーにも乱れが生じると考えられます。

紫外線対策

紫外線による幹細胞ダメージやデスモソームを減らすのを避けるためには帽子、日傘やフェイスカバーなどの使用やビタミンC誘導体ビタミンE誘導体配合の美容液を日常的に使用しましょう。仕事などで帽子や日傘が使えない場合にはビタミンC誘導体やビタミンE誘導体が配合された美容液を出かける前に化粧下地として使うことで日中も紫外線による肌の老化を防いでくれます。日焼け止めは二酸化チタンや酸化亜鉛が含まれているため紫外線で活性酸素が発生しますから海水浴などどうしても必要な時以外は控えた方がエイジングケアになります。

有酸素運動

有酸素運動はウォーキングやヨガなどの酸素を取り込みながら行う運動です。有酸素運動でミトコンドリアの数が増えますが、ミトコンドリアは細胞のエネルギー『ATP』を作る細胞のエンジンです。ATPがエネルギーとして使われるとAMPが増えます。このAMPが増えると肌のターンオーバーが促進される[1]ため有酸素運動でどんどんATPを作って消費し、AMPを増やしてやればいいことになります。

PQQ

PQQはカカオに多く含まれる『新規のビタミン』です。PQQも有酸素運動と同様にミトコンドリアを増やしますのでATPが増えていきます。そのうえでウォーキングをすれば大量のAMPが生み出されますので肌のターンオーバーが促進すると考えられます。たまに私は夜にカカオ85%以上のチョコレートをひとかけ食べてPQQを補給しています。

ビタミンC

ビタミンCは表皮の細胞が角質層に分化していく際に必要なビタミンです[3]。スムーズな肌のターンオーバーが起きるために野菜やサプリでビタミンCを補給しましょう。ビタミンCは細胞間脂質のセラミドを作るのに必要なビタミンですので皮膚バリアを維持するためにも大切です。

化粧品で肌から直接浸透させてビタミンCを補給する場合には、ビタミンCを直接塗るよりもビタミンC誘導体のほうがエイジングケアの観点からは安全です。その理由はビタミンC誘導体は肌に塗っても空気中の酸化されにくく安定していて肌への浸透力も通常のビタミンCよりも高い化粧品成分です。このような高浸透タイプのビタミンC誘導体としてAPPS(アプレシエ)を配合した美容液が売られています。

ビタミンA(レチノール)

ビタミンAはレチノールやレチナール、トレチノインなどすべて総称してレチノイドと呼ばれています。レチノイド化粧品は肌の細胞分裂を促進するため肌のターンオーバーが速くなります。メラニン色素の排泄が通常より早まりますのでビタミンA配合の化粧品は美白化粧品としてシミ取りに使われるのです。ただ刺激が強いため皮膚バリアが弱っている人には向かないかもしれません。

【参考文献】

  1. Effects of adenosine 5′-monophosphate on epidermal turnover. Furukawa Fet al., Arch Dermatol Res. 2008 Oct;300(9):485-93. doi: 10.1007/s00403-008-0882-x. Epub 2008 Aug 30.
  2. A keratinocyte’s course of life. Houben E et al., Skin Pharmacol Physiol. 2007;20(3):122-32. Epub 2006 Dec 21.
  3. Vitamin C enhances differentiation of a continuous keratinocyte cell line (REK) into epidermis with normal stratum corneum ultrastructure and functional permeability barrier. Pasonen-Seppänen S et al., Histochem Cell Biol. 2001 Oct;116(4):287-97.

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