ニキビは酸化した皮脂を落とすために洗顔が大切ですが、ニキビを改善するための洗顔はどのようにしたらよいのか興味がわきましたので医学論文を参照しながらニキビを改善するための洗顔法を考察してみたいと思います。
ニキビの原因
アクネ菌の繁殖
ニキビの原因はいくつかあります。その一つにアクネ菌の繁殖があります。アクネ菌が繁殖すると炎症が皮膚に起きるためその毛穴が赤く腫れてニキビになっていくのです。アクネ菌が放出するポルフィリンに紫外線が当たると活性酸素が増えるため、毛穴の皮脂も酸化しやすくなり酸化した皮脂もまた炎症源になります。アクネ菌が繁殖するのは皮脂が増えるからですがさまざまな原因で皮脂分泌が増えます。
皮脂の過剰分泌
思春期のニキビは男性ホルモンの影響で皮脂分泌が増えるためニキビも増えます。皮脂は大気中の酸素で酸化し酸化脂質が皮膚に炎症を起こしますので毛穴周りのニキビの原因になります。また、鼻にできやすいですが毛穴に角栓ができて酸化されると黒ずんできます。皮脂分泌を減らすには食べ物の管理も重要で糖質や牛乳の摂取は皮脂分泌を増やすのでニキビの原因となっています。同様にフライドポテトなど高温で熱されたオイルに多く含まれるトランス脂肪酸も皮脂の分泌過多の原因でニキビの原因になっています。
クレンジングによるニキビ発生
市販の多くのクレンジング剤には合成界面活性剤が含まれており水道水で流しても界面活性作用が持続するため皮膚のバリア機能が低下していきます。これが乾燥肌や敏感肌の一つの原因で特に先進国で多くなっている理由です。
洗顔は炎症源である酸化した皮脂を減らすためにニキビ改善に有効なのですが、このような合成界面活性剤で洗顔して毛穴から皮脂を根こそぎ奪い取ると逆に皮脂腺が発達して皮脂が増えるのです。一定の皮脂量水準を保とうとするため皮脂を落としすぎるとかえって増やすのです。洗顔をしすぎた結果、逆に脂性肌といった皮脂が多い肌になったりニキビが悪化したりします。ですので洗顔やクレンジングには水道水で界面活性作用が失われる石鹸ベースの洗顔フォームを少しつけて洗い流す洗顔がよいと考えられます。
ニキビを改善するために
アクネ菌を減らすためにニキビの治療には抗生物質が使われます。しかし、化粧品と同様に防腐剤や抗生物質の中途半端な使用によりアクネ菌が薬剤耐性を持つリスクが高まる[3][4]ため抗生物質の頻繁な使用はよく考えるべきです。DNAを変化させやすい黄色ブドウ球菌はパラベンや抗生物質を多用していると薬剤耐性だけでなく肌荒れを悪化させる性質も獲得していくことが知られています。
耐性菌の発生だけでなく抗生物質に頼るニキビ治療は塗った時の一時的なニキビ改善になることが多いため、持続的に綺麗な肌を維持するためにはやはり薬に頼らないでニキビを改善するような生活習慣が大切です。これまで述べたように皮脂量を減らす食事や正しい洗顔、化粧品により過剰な皮脂を抑制しながら慢性炎症による皮膚バリア機能の低下を回復させる必要もあります[2]。皮脂量を減らす食事としては糖質や乳製品、トランス脂肪酸を減らした食事に変えると皮脂が減りニキビ対策になります。これらは『mTOR』というタンパク質を活性化するため皮脂がどんどん作られるのです。
洗顔剤の選び方
洗顔剤に関してはアルコールが入っていたり添加物や合成界面活性剤が入っていると皮膚の刺激が強くなり皮膚バリア機能が低下しているニキビ肌を改善する正しい洗顔剤とは言えません[1]。また、先ほども述べましたが合成界面活性剤で一気に皮脂を洗い落とすと逆に皮脂腺が発達してニキビが悪化する恐れがあります。ですのでニキビの改善には[1]泡状で石鹸でできた洗顔石鹸フォームで洗うのがベストです。
紫外線対策
さらにニキビを悪化させる原因には紫外線による皮膚バリア機能の破壊と活性酸素による皮脂酸化と炎症がありますので外出時にはビタミンC誘導体、ビタミンE誘導体、日傘、フェイスガード[1]などを活用しましょう。また、紫外線はバリア機能を壊すだけでなくアクネ菌が産生する『ポルフィリン』に活性酸素を発生させてニキビを悪化させることになります。ビタミンC誘導体は活性酸素を消去するとともに皮脂分泌も抑えるためニキビ治療にも使われます。
保湿液の利用
ニキビは慢性炎症だといいましたが多くの天然成分の保湿液は抗炎症作用を持っています。例えばホホバオイルは皮脂と同じ酸化しにくいワックスで抗炎症作用も同時に持っている[6]ためニキビを改善するのに効果があります[5]。意外かもしれませんがニキビ肌の内側では皮膚バリアがダメージを受けて弱くなって乾燥しています(インナードライ)ので皮膚の水分が蒸発し保湿が必要な状態です。ホホバオイルは抗炎症作用のみならず保湿剤としても優秀ですのでニキビの治療にはこのような保湿液が適しています[5]。
【参考文献】