表皮ブドウ球菌はどのように肌を守っているのか?

肌表面には見えないけれども多くの細菌が住んでおり良い菌(表皮ブドウ球菌)も悪い菌(黄色ブドウ球菌やアクネ菌)もいます。これら皮膚常在菌は皮膚免疫と関係していますが、多くの化粧品はパラベンやフェノキシエタノールなどの合成防腐剤で防腐されています。化粧品メーカーがこれらの合成防腐剤を配合する理由は、ドラッグストアの棚に並べて置ける期間が長くなるため在庫管理の面で有利だからです。もちろん効果が明確で安価な防腐剤がパラベンやフェノキシエタノールだからという理由もあります。そこで、この記事では合成防腐剤が善玉菌の表皮ブドウ球菌にどのように影響するのか?肌のエイジング(老化)に影響がないのか?医学論文を参照しながら考察したいと思います。

皮膚常在菌について

黄色ブドウ球菌(悪玉菌)

皮膚には腸内や口腔内同様に様々な細菌が共生してお互いに助け合っていますが、中には繁殖すると宿主である人に肌荒れやアトピーなどを引き起こしてしまう細菌もいます。いわゆる悪玉菌といわれ『黄色ブドウ球菌』がそれにあたります。黄色ブドウ球菌が増えると健康な人の肌でもコンディションを悪化させる[1]ためなるべく増やさないようにするのが美肌の秘訣と言えます。また、黄色ブドウ球菌はアトピーの原因菌[2][3]ですのでかゆみが出たり炎症で皮膚の老化も加速していきます。

表皮ブドウ球菌(善玉菌)

一方、肌の常在菌のうち善玉菌と呼ばれる菌が『表皮ブドウ球菌』です。表皮ブドウ球菌は菌の外にバクテリオシンという抗生物質を放出して黄色ブドウ球菌と戦って減らしてくれます[2]。表皮ブドウ球菌は『セリンプロテアーゼ』というタンパク質分解酵素を分泌して黄色ブドウ球菌が増えるための足場(バイオフィルム)を溶かすため黄色ブドウ球菌の繁殖を抑える働きがあり肌荒れ防止の役割をしています。さらに表皮ブドウ球菌は皮膚に信号を送りビタミンDの活性化による免疫力の強化や抗生物質『カテリジン』を生合成させて[6]皮膚の細菌感染を防いでいます。

黄色ブドウ球菌を減らすとアトピー症状が改善する[4]ため黄色ブドウ球菌と戦ってくれる善玉菌の表皮ブドウ球菌を肌に塗る方法がアトピー治療の可能性として考えられています。さらに表皮ブドウ球菌はToll-like receptor 2(TLR2)という受容体を刺激して皮膚バリア機能を高めます[5]。角質層の下は顆粒層という上皮の層なのですがここに細胞同士をつないでいる『タイトジャンクション』という接着の仕組みがあります。このTLRはグルコシルセラミドを食べると増える『クローディン遺伝子』とともにタイトジャンクションを強化し皮膚バリア機能を強化してくれます。

細胞同士がきつく密着しているとそれだけ水分の蒸発や細菌など毒素の侵入も防御することができます。アトピー患者さんの皮膚ではこのTLR2の発現が弱く[7]タイトジャンクションが弱くなっています。つまり表皮ブドウ球菌が優勢であると黄色ブドウ球菌を減らしタイトジャンクションを強化するためアトピーなどの肌荒れを防いでくれているのです。ちなみに紫外線を浴びるとこのタイトジャンクションが破壊されていくため紫外線対策としても表皮ブドウ球菌は有用なのです。

無添加化粧品で黄色ブドウ球菌から肌を守る

合成防腐剤フリーの化粧品

このように美肌と正常な皮膚常在細菌叢には関係があるためなるべく黄色ブドウ球菌が増殖しないようなスキンケアが望ましいと考えられます。黄色ブドウ球菌は防腐剤や抗菌剤で自身のDNAを変えやすい細菌であり、わかりやすい例として入院患者さんで死亡者が出る『MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)』で有名です。このように黄色ブドウ球菌は化粧品や医薬品に使われる抗菌薬に対して自身のDNAを変化させ薬剤耐性や新しい特異な性質を持つようになります。スキンケアは毎日の習慣であり常在菌への影響が高いため、化粧品に配合されているパラベンなどの抗菌成分と黄色ブドウ球菌が触れ合っていると耐性菌や異常な菌が出現します。細菌DNAの変異を防ぐには触れた瞬間に殺菌する必要があります。天然の抗菌物質『バクテリオシン』は瞬時に細胞膜に穴をあけ殺菌するため、バクテリオシンを防腐剤として有効活用するかしてパラベンなどの耐性菌やDNA変異を生みやすい抗菌剤を使わないようにすることが綺麗な肌を回復するのに有効です。

合成界面活性剤フリーの化粧品

合成界面活性剤は皮膚バリアを壊すためどんどん乾燥肌になっていくのですが、皮膚バリア機能が低下している人の肌では黄色ブドウ球菌が繁殖しやすいため肌荒れが起きやすいと考えられます。ですので『ラウリル硫酸~』などの合成界面活性剤で顔や体を洗うことを少しずつやめて代りに石けんでできた洗顔フォームで洗うことをおすすめします石鹸は水道水中のミネラルで界面活性作用が失われるため肌のバリアを壊すリスクが抑えられるためです。

【参考文献】

  1. Biofilm-forming ability of Staphylococcus aureus strains isolated from human skin. Shin K et al., J Dermatol Sci. 2013 Aug;71(2):130-7. doi: 10.1016/j.jdermsci.2013.04.004. Epub 2013 Apr 17.

  2. Antimicrobials from human skin commensal bacteria protect against Staphylococcus aureus and are deficient in atopic dermatitis. Nakatsuji T et al., Sci Transl Med. 2017 Feb 22;9(378). pii: eaah4680. doi: 10.1126/scitranslmed.aah4680.

  3. Temporal shifts in the skin microbiome associated with disease flares and treatment in children with atopic dermatitis. Kong HH et al., Genome Res. 2012 May;22(5):850-9. doi: 10.1101/gr.131029.111. Epub 2012 Feb 6.

  4. Turning the inside out: the microbiology of atopic dermatitis. Brüssow H, Environ Microbiol. 2016 Jul;18(7):2089-102. doi: 10.1111/1462-2920.13050. Epub 2015 Dec 4.

  5. Activation of epidermal toll-like receptor 2 enhances tight junction function: implications for atopic dermatitis and skin barrier repair. Kuo IH et al., J Invest Dermatol. 2013 Apr;133(4):988-98. doi: 10.1038/jid.2012.437. Epub 2012 Dec 6.

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