乳酸菌由来の抗菌成分バクテリオシンはなぜ肌に優しい防腐剤なのか?

最近はMRSAなど多剤耐性の黄色ブドウ球菌の発生で抗生剤で治療できて助かっていた病気が治らないといったニュースもよく聞くようになりました。黄色ブドウ球菌は皮膚に常在する病原菌で医療機関で使われる抗生剤だけでなく、日常生活で毎日消費している化粧品やハンドソープなどの防腐剤でも容易に耐性菌が生まれます。

そのため、防腐剤や抗菌剤によって逆に感染症にかかりやすくなるといった逆説的な効果[1]も懸念されています。実際、アメリカのFDA(アメリカ食品医薬品局)は防腐剤・抗菌剤のトリクロサンやトリクロカルバンなど複数の防腐剤を逆に感染症にかかりやすくなる懸念があるため化粧品類に使用することを禁止しました。薬剤耐性やDNAを自ら変化させ性質を変化させる黄色ブドウ球菌の繁殖は肌のエイジング(老化)を加速させます。

耐性菌を生みにくい天然防腐剤のバクテリオシン

現実問題として水溶性の化粧品に防腐効果のある成分が含まれていないと化粧品が半年も持たないため、何かしら防腐効果のあるものを配合する必要があります。私が医学論文を読んで導き出した一つの答えは自然界の抗菌成分バクテリオシンを使うことです。バクテリオシンは乳酸菌をはじめとする細菌自身が分泌して他の細菌の繁殖を妨げる抗菌性タンパク質です。その作用は瞬時に細胞膜に穴をあけ殺菌するというものでパラベン等と比べて耐性菌を生みにくいとされています。黄色ブドウ球菌がその防腐剤に対してDNAを変化させる時間を与えないため耐性菌や悪性度の高い変質した菌が生まれにくいのです。

バクテリオシンは皮膚粘膜に対する毒性が低い

パラベンなどの合成防腐剤は皮膚から浸透して生きた細胞に対して細胞毒性があり活性酸素を増やして肌の老化を加速することが知られています。ではバクテリオシンは皮膚や粘膜に対する毒性がない安全な防腐剤なのでしょうか?結論から言うと、バクテリオシンは抗菌作用目的で使用されるような濃度では粘膜細胞に対する毒性は認められず、極端な高濃度でしか細胞の自殺であるアポトーシスは起こらなかったと報告されています[2]。ということは、現在市販のうがい薬には抗菌成分が配合されているものがありますが耐性菌の発生と免疫低下の少ない抗菌成分としてバクテリオシンを活用したうがい薬の開発も考えられます。

まとめると、変異した黄色ブドウ球菌を生みにくい天然の防腐剤バクテリオシンは皮膚や粘膜に対する毒性(アポトーシス)も通常濃度では起こらず安全性が高い皮膚にも環境にも優しいい防腐剤だということです。

【参考文献 】

  1. Resurrecting the intestinal microbiota to combat antibiotic-resistant pathogens. Pamer EG, Science. 2016 Apr 29;352(6285):535-8. doi: 10.1126/science.aad9382.

  2. Antimicrobial nisin acts against saliva derived multi-species biofilms without cytotoxicity to human oral cells. Shin JM et al., Front Microbiol. 2015 Jun 18;6:617. doi: 10.3389/fmicb.2015.00617. eCollection 2015.

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