ビタミンC誘導体化粧品はニキビに効果はあるのか?

ビタミンC誘導体は純粋なビタミンCにはないメリットが多く、人間が合成した材料の中でも安全性が高く興味深い化粧品原料のひとつだと思います。そこで今回はビタミンC誘導体のニキビ改善効果について医学論文を参照しながら考察してみたいと思います。

ビタミンC誘導体とは

ビタミンC(アスコルビン酸)は水溶性のビタミンで水に良く溶ける性質があります。ビタミンCには炭素が6つあり順に番号が振られており、2位の水酸基をリン酸基と置換し酸化しにくくしたり6位の炭素にパルミチン酸などの脂溶性分子をつなげ肌からの浸透性を高めたりしたものがビタミンC誘導体です。

ビタミンCの構造 File:L-Ascorbic acid.svg Author: Yikrazuul

現在ではビタミンC誘導体は多くの種類が開発されておりますが、その中でも酸化されにくく浸透性も高いのが『APPS(アプレシエ)』です。皮膚から浸透させるためには脂溶性で低分子の成分でないと浸透しにくいため、脂溶性を高めるためにビタミンCにパルミチン酸をくっつけた誘導体です。

純粋なビタミンCは食べ物として摂取したり静脈から点滴したりするなどさまざまな用途に使われています。ですが純粋なビタミンCは酸化しやすく、皮膚に塗ると大気中の酸素や紫外線、酸化鉄、窒素酸化物などですぐに酸化してそれ自体が皮膚を酸化する酸化物になるため肌のエイジングを加速します。一旦皮膚内に入ると体内では『レドックス(Redox)機構』という酸化還元ネットワークがあり、グルタチオンやコエンザイムQ10などの強力な抗酸化剤とお互いに酸化還元しあってリサイクルする仕組みがあるため皮膚内でビタミンCが酸化されてもすぐに抗酸化剤として復活します。ですので皮膚上に塗布しても酸化しにくいビタミンC誘導体にして浸透させてから皮膚内でビタミンCを放出するようにすることがビタミンCを応用する上で肌の老化の観点からは重要になります。

ビタミンC誘導体はビタミンCの構造式で酸化されやすい2位または3位の水酸基がリン酸などで置換されているため空気中の酸素で酸化されにくく、ビタミンC誘導体自身が強力な抗酸化作用を持っています。ビタミンC誘導体は浸透して皮膚内で酵素のフォスファターゼで徐々に分解されてビタミンCを放出するため肌に塗っても抗酸化力を維持できるのです。このビタミンCを徐放することができる能力があるため外出時に長時間の紫外線対策や大気汚染による活性酸素対策になります。また、紫外線を浴びるとシミができますがビタミンCはメラニン色素が黒くなるのを抑えるため美白化粧品にも昔から使われています

ニキビができる原因

皮脂の分泌増加

皮脂分泌が増えるとニキビができやすくなります。思春期のホルモンバランスの変化で男性ホルモンが増えるため皮脂の分泌が増えニキビになるのは多くの人が経験していることだと思います。皮脂を増やす食べものもあり、甘いミルクチョコレートやクッキーを大量に食べるとニキビができた経験をした人もいるのではないでしょうか?糖質、乳製品、トランス脂肪酸はIGF-1/Inslinシグナルを活性化してmTOR(エムトール)という酵素を活性化させて皮脂分泌を増やすためニキビの原因になります[1]。

毛穴のつまり(角栓)

毛穴の中は皮脂と剥がれ落ちた角質の混合物で満たされています。毛穴が詰まると古い酸化された皮脂や角質が毛穴から排出されないためアクネ菌の繁殖や酸化脂質による皮脂腺に炎症を引き起こしてニキビの原因になります[4]。この古い角質と皮脂が混じって毛穴に栓のように詰まったのものを角栓といいイチゴ鼻や頬など毛穴が目立つ原因になります。

アクネ菌(P. acnes)

皮脂の分泌増加や毛穴の詰まりなどが起こると皮膚常在菌であるアクネ菌が繁殖し皮脂腺や角質細胞に炎症を引き起こします[4]。また、アクネ菌が産生する『ポルフィリン』は紫外線を浴びると活性酸素を発生させ炎症を起こすためニキビ対策では紫外線対策も必要なのです。

酸化脂質(参加した皮脂やメイク)

皮脂には酸化しやすいスクワレンが含まれていますので一日の終わりにはなるべく酸化脂質は洗顔で肌から除くほうが顔のアンチエイジングには良いわけです。最近は初期のニキビは皮膚常在菌であるアクネ菌よりも酸化した皮脂が最初に炎症を引きこすと考えられています。ニキビ肌の洗顔で気を付けなければならないのが皮脂を落としすぎないことです。皮脂が合成界面活性剤でできた洗顔剤で一気になくなると皮脂腺が発達してよけいに皮脂を分泌するようになります。

ビタミンC誘導体のニキビへの効果

ニキビに有効なビタミンC誘導体として、2位の水酸基をリン酸で置換したビタミンC誘導体の『APS』はニキビ治療に効果があったと報告があります[2][4]。先ほど述べたようにニキビの原因である皮脂分泌過多やアクネ菌の繁殖による炎症と活性酸素をビタミンC誘導体が軽減してくれますし、皮膚内で放出されたビタミンCは皮脂分泌も抑えてくれます[5]のでビタミンC誘導体がニキビ治療に使われるのです。

 【参考文献】

  1. Linking diet to acne metabolomics, inflammation, and comedogenesis: an update. Melnik BC. Clin Cosmet Investig Dermatol. 2015 Jul 15;8:371-88. 

  2. Sodium L-ascorbyl-2-phosphate 5% lotion for the treatment of acne vulgaris: a randomized, double-blind, controlled trial. Woolery-Lloyd H et al., J Cosmet Dermatol. 2010 Mar;9(1):22-7. 

  3. Sodium ascorbyl phosphate shows in vitro and in vivo efficacy in the prevention and treatment of acne vulgaris. Klock J et al., Int J Cosmet Sci. 2005 Jun;27(3):171-6. 

  4. L-Ascorbyl-2-phosphate attenuates NF-κB signaling in SZ95 sebocytes without affecting IL-6 and IL-8 secretion. Ikeno H et al., Arch Dermatol Res. 2015 Sep;307(7):595-605. 

  5. Assessment of Combined Ascorbyl Palmitate (AP) and Sodium Ascorbyl Phosphate (SAP) on Facial Skin Sebum Control in Female Healthy Volunteers. Khan H et al., Drug Res (Stuttg). 2017 Jan;67(1):52-58. doi: 10.1055/s-0042-118171. Epub 2016 Oct 18.

理想的な肌のエイジングケアを実践するために、このサイトで主張してきたエイジングケアの医学知識をすべて満たしたオリジナルブランド『オーソブルーム』を開発しました。合成界面活性剤を使わずパラベンなどの合成防腐剤不使用で、合成着色剤も不使用とエイジングケアの基本を満たしながら洗顔や保湿、クレンジング、ハリを得るためのエイジングケア美容液などをラインアップしました。公式サイトはこちら⇒    
『いつまでも顔やスマイルを健康で美しく保ってほしい』年齢以上の老化をしたくない人のために老化の医学に基づいて開発した無添加エイジングケア基礎化粧品『オーソブルーム™』公式サイト

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする