レチノイド(ビタミンAの総称)は加齢した皮膚に対するアンチエイジング効果が優れていますが、刺激の強さが問題となっていました。そこで今回はレチノイド以外でハーブなどの薬用植物にビタミンA受容体に結合して同様なアンチエイジング効果を発揮するものはないのか興味がわきましたので医学論文を参照しながら考察してみたいと思います。
レチノイド受容体は核内に2種類ある
レチノイドは脂溶性で油に溶ける性質があります。そしてレチノイドが結合するビタミンA受容体は細胞の核内にあり、レチノイン酸受容体(retinoic acid receptor, RAR)とレチノイドX受容体(retinoid X receptor, RXR)という2種類のタンパクが結合した複合体です。このビタミンA受容体は加齢とともに減っていくことが示されており[1]老化のマーカーにもなります。
老化したラットの実験ではレチノイン酸を投与したところ肝臓におけるRARの発現が増加したと報告しているものもあることから、植物に含まれるレチノイド様の若返り作用を持つ物質はRARやRXRの発現を増加させるかどうかを見る実験をすればよいことになります。
ビデンスピローサ(コシロノセンダングサ)エキスはレチノイド様の化学構造・作用がある
南米や沖縄など世界に広く分布しているビデンスピローサというキク科の薬草のエキスを調べたところ、RXRを増加させたと結論しています。ビデンスピローサのエキスにはさまざまな成分が含まれており、ドコサヘキサエン酸、フィタン酸、フィトール、リシノール酸、およびカフェー酸エステルなどはビタミンAに似た化学構造で実際にこれらのうちのいくつかはRXRに結合することも分かっています。
ビタミンA(レチノイド)のハリ・シミに対する皮膚若返り作用と副作用
そもそもビタミンAはなぜシワやシミなどの皮膚の老化現象を改善するのでしょう?皮膚の老化は加齢による自然なエイジング(老化)だけでなく日光老化と言って紫外線によるシワやシミ、皮膚を硬くハリを失わせ”たるみ”などの皮膚老化症状が現れます。
ビタミンAはコラーゲン繊維などの細胞外マトリックスを増やしハリを回復させてシワを減らしたり、表皮基底膜に存在している幹細胞の増殖促進による皮膚ターンオーバーの加速によりメラニン色素を排出して美白作用があったり、血管新生などのアンチエイジングな作用を持っているためいわゆるエイジングケア化粧品に配合されることが多い成分なのです。
しかし最初に述べたようにレチノイド化粧品は副作用がきついことが知られています。副作用には紅斑、灼熱感、乾燥、落屑、刺激、および紫外線に対する光感受性増加などがありレチノイド化粧品を継続できない方もかなりいると思われます。
一方、ビデンスピローサのエキスはビタミンAの受容体のうちRXRに結合し発現を誘導するレチノイドの代わりになるハーブです。ですのでビデンスピローサのエキスもレチノイドのような繊維芽細胞や皮膚に対するアンチエイジング効果が報告されています。さらにハーブのエキスだけあって抗炎症、抗酸化作用もありますのでビタミンC誘導体やビタミンE誘導体などと同様、大気汚染物質や紫外線などの環境ストレスによる肌の老化対策にもなることでしょう。
【参考文献】
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