ニキビに保湿は必要なのか?

ニキビの多い肌は皮脂分泌が旺盛で油っぽくなっているためスッキリと洗顔したくなるものです。このようなニキビ肌でも保湿した方がニキビの改善になるのでしょうか?興味がわきましたので医学論文を参照しながら考察してみたいと思います。

ニキビに保湿が必要な理由とは?

ニキビの肌の多くは皮脂分泌が多く油っぽいため保湿剤を使用したくないものです。むしろニキビの油っぽさを減らそうとしてスクラブ洗顔剤や合成界面活性剤などで強力なクレンジングをしたり、アルコールの入った収斂剤を使って物理的な方法で毛穴を収縮させたりして皮脂をきれいさっぱり落とそうとします[1]。ですが、これらのニキビ対策はその時はサッパリ爽快であってもニキビは悪化し凸凹のニキビ跡になっていきます。

ニキビ肌は実は乾燥している

ニキビは皮脂の酸化やアクネ菌の繁殖で炎症が起こっている状態ですので、皮膚の角質バリア機能がダメージを受けており水分が蒸発しています。実は皮膚表面の油っぽさとは異なり肌内部では水分が足りない乾燥肌の状態になっているのです。これをインナードライといいます。水分が足りないと上皮はうまく機能しない[7]ため、保湿剤で保湿をしてあげることがニキビの炎症でやられた皮膚バリアを回復するのに有効です[3][4]。

ニキビを改善するスキンケア生活習慣について

ニキビの主な原因は皮脂が多く分泌されて皮脂が酸化したりアクネ菌の繁殖による炎症が原因です。ですので、まず皮脂の分泌量を減らすことがニキビの改善に有効[2]です。そのため皮脂分泌を増やす食べ物を減らすことが重要です[4]。糖質や牛乳、ドーナツやポテトフライなどに含まれるトランス脂肪酸などは皮脂分泌を増やす食べ物ですのでニキビ肌で悩んでいる人はこれらの摂取を減らすことです。

スキンケアでは泡だてた石鹸ベースの洗顔剤を少し使って洗顔をして酸化した皮脂を落とすことです。ここで気を付けなければならないのは手軽さをもとめて合成界面活性剤でできた洗顔フォームを使ってしまうと皮脂が一気になくなるため肌が皮脂腺を発達させて逆に皮脂分泌が増えてニキビが悪化する可能性があることです。その点、石鹸でできた洗顔フォームだと水道水に含まれているミネラルで界面活性作用を失い金属石けんと呼ばれる不活化した物質に変わるため皮脂を落としすぎる心配が軽減されます。

外出するときには皮脂の酸化を防ぐために日傘やフェイスガード、ビタミンC誘導体ビタミンE誘導体などで肌の紫外線対策をする[4][5]と紫外線による皮脂の酸化が抑えられるためニキビ改善になります。

ニキビ改善で使うべき保湿液

ニキビは敏感肌や老化した肌と同様皮膚バリア機能が低下しているため多くの物質に対して刺激を感じやすい状態です。そのため保湿剤も敏感肌に準じた肌に優しい保湿剤を選びましょう。ニキビ肌は毛穴周りに慢性的に炎症が起こっており抗炎症作用を持つ保湿剤が良いと考えられます。抗炎症作用を持つ保湿剤として天然のホホバオイルがあります[6]が、ホホバオイルは皮脂に含まれる飽和脂肪酸でできたエステルワックスが主成分ですので酸化しにくく抗炎症作用もあるためニキビの保湿にうってつけです。

ニキビ肌では角質バリアが炎症で障害を受けているため角質に含まれる天然保湿因子(NMF)も減っています。ですのでこの天然保湿因子(NMF)も含んだ保湿液だとさらにニキビに良いと考えます。このようにニキビは炎症が起きていてバリア機能がダメージを受けているので肌がもともと持っている保湿成分を補い使うことで肌に優しい保湿剤になります。

【参考文献】

  1. Why do we need another moisturizer for our acne patients? Kircik LHJ Drugs Dermatol. 2014 Aug;13(8):s88.

  2. The importance of photoprotection and moisturization in treating acne vulgaris. Bowe WP, Kircik LHJ Drugs Dermatol. 2014 Aug;13(8):s89-94.

  3. Efficacy, safety, and subject satisfaction of a specified skin care regimen to cleanse, medicate, moisturize, and protect the skin of patients under treatment for acne vulgaris. Del Rosso JQ et al.,J Clin Aesthet Dermatol. 2015 Jan;8(1):22-30.

  4. The Role of Skin Care as an Integral Component in the Management of Acne Vulgaris: Part 2: Tolerability and Performance of a Designated Skin Care Regimen Using a Foam Wash and Moisturizer SPF 30 in Patients with Acne Vulgaris Undergoing Active Treatment. Del Rosso JQ, Brandt SJ Clin Aesthet Dermatol. 2013 Dec;6(12):28-36.

  5. The role of skin care as an integral component in the management of acne vulgaris: part 1: the importance of cleanser and moisturizer ingredients, design, and product selection. Del Rosso JQ et al., J Clin Aesthet Dermatol. 2013 Dec;6(12):19-27.

  6. Anti-inflammatory effects of jojoba liquid wax in experimental models. Habashy RR et al., Pharmacol Res. 2005 Feb;51(2):95-105.

  7. Skin hydration: a review on its molecular mechanisms. Verdier-Sévrain S et al., J Cosmet Dermatol. 2007 Jun;6(2):75-82.

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