パラベンなどの合成防腐剤フリーの化粧品はエイジングケアになるか?

最近、無添加と謳っている化粧品が増えてきましたがそのなかでも多いのが『パラベンフリー』ではないでしょうか?合成防腐剤であるパラベンやフェノキシエタノールは少量でも3年程度は細菌の繁殖を防ぐ効果があり商品の保存には大変便利な物質です。一方でパラベンなどの防腐剤は環境にも影響を与え、皮膚の健康にもよくないといわれています。そこでパラベンなどの合成防腐剤は肌の老化を促進しないのか?どのような防腐剤がエイジングケアの観点からふさわしいのか?を医学論文を参照しながら考察してみたいと思います。

パラベンなどの防腐剤は皮膚免疫力を下げる危険性がある

結論から言うとパラベンなどの合成防腐剤は肌のエイジングケアにはあまりよくありません。毎日パラベンやトリクロサンなどの合成抗菌剤・防腐剤入りの化粧品やハンドソープなどを使用していると悪玉菌の黄色ブドウ球菌が自らのDNAを変異させ異常な菌が発生して皮膚免疫力を低下させる懸念が指摘されている[3]からです。黄色ブドウ球菌は皮膚常在菌で自らのDNAを変異させる能力が非常に高いことで知られています。毎日のようにこのMRSAに代表される黄色ブドウ球菌の変異菌で命が奪われるニュースが報道されますが、化粧品やハンドソープに含まれている合成防腐剤や抗菌成分を使った製品の使用で他の薬剤に対しても『交叉耐性(cross resistance)』を持つようになる[3]ため”抗菌”商品は少しづつ生活から減らしていく方が健康な皮膚免疫を保てると考えられます。皮膚は免疫組織でもあり、悪い菌や異物を排除して活性酸素や炎症から守って肌のエイジング(老化)を防いでくれているのです

次に、パラベンやフェノキシエタノールなどの防腐剤は皮膚の細胞にとって毒性があります。パラベンなどの合成防腐剤は皮膚から容易に浸透して全身を巡って尿から排泄されることが知られており、生きた肌の細胞にも触れるため活性酸素が増え細胞が老化し皮膚のターンオーバーが遅くなったり、コラーゲン繊維が減りハリが失われ老化が加速する原因となります。

さらにこれらの防腐剤はアレルギーを引き起こしやすい化粧品成分でも上位に入っているため化粧品を使っていると赤みやかゆみが出やすい化粧品になります。これらのデメリットがあるため化粧品で毎日使うものに余計な防腐剤や抗菌剤はなるべく使用しない方が肌のエイジングケア化粧品として良いと考えられます。

耐性菌を生みにくい防腐剤バクテリオシン

では化粧品の保存期間を伸ばしながら安全に使える防腐剤はあるのでしょうか?その一つの候補として自然界の防腐剤で乳酸菌などが生み出す天然の抗菌物質である『バクテリオシン』は耐性菌を生み出しにくい防腐剤とされています[4]。バクテリオシンは食品の保存にも使われており安全性と安定性が高い防腐剤で、すでに化粧品のなかにはバクテリオシンを使って防腐しているエイジングケア化粧品もあります。

バクテリオシンは細菌の細胞膜に穴をあけイオンを流出させて即時に殺菌するという防腐作用があります[4]。つまり触れると瞬時に細胞膜に穴があいて殺菌することで黄色ブドウ球菌にDNAを変異させる時間を与えないのです。そのためパラベンやフェノキシエタノールなどの一般的な防腐剤より薬剤耐性や異常な性質をもった細菌が発生しにくい古くて新しい安全な防腐剤と考えられています[4]。

パラベンは女性ホルモン様内分泌かく乱物質

パラベンやフェノキシエタノールは美肌に良くないだけでなく女性ホルモン様の内分泌かく乱物質で皮膚から浸透して尿から排出されます。実際、先進国のほとんどの人の尿からパラベンなどの合成防腐剤が検出されています。これは化粧品や洗剤などの多くの日用品にパラベンが使われているからです。老化の原因は活性酸素と炎症ですが尿から多くのパラベンが検出される人ほど活性酸素レベルが体内で高いことも判明しています。

また、女性ホルモンの『エストロゲン』に敏感なタイプの乳がんでは女性ホルモン作用があるものを体内に入れるのは危険ですし、妊娠期では早産や低体重児のリスクも指摘されています。特に貝など湾に住む水性生物はこの環境ホルモンがたまりやすいため湾から取れた貝や魚を食べると最終的には環境ホルモンは人間に取り込まれることになります。

さらに内分泌かく乱物質は肥満の原因となっており[5]脂肪細胞が脂肪をため込みやすくなったり、食欲と満腹感の異常とも関連していると報告されています。肥満は全身に軽度の炎症がばらまかれている状態のため肌のエイジングも加速しています

パラベンなどの防腐剤は環境にも良くない

薬剤耐性や変異した菌を増やすパラベンなどの抗菌剤・防腐剤は自然環境にも影響を与えます。シャチなど水生生物の動物の体内からブドウ球菌の耐性菌が見つかっています。

通常、自然界でも細菌同士はバランスをとっているためある菌だけが薬剤耐性や異常な性質を持ってしまうと自然界の細菌バランスにも影響をあたえることになるのです。先進国では50年以上もパラベンやフェノキシエタノールなど抗菌剤や防腐剤が入った化粧品や洗剤を使用してきたため地球環境にも影響が出始めたと考えています。もし環境に優しい化粧品ブランドを目指すならパラベンなどの合成防腐剤の使用は避けるべきかと思います。

合成防腐剤は細胞毒性がある

フェノキシエタノール(PE)、プロピルパラベン(PP)、メチルパラベン(MP)、ベンジルアルコール(BA)およびエチルヘキシルグリセリン(EG)は化粧品に使われることも多い合成防腐剤のリストですが、すべて皮膚の細胞に毒性があります[1]。つまり、活性酸素で幹細胞が死んで減ったり細胞分裂が永久に停止して老化細胞が増えていくためしわや乾燥などの肌の老化の原因になります。

特にプラピルパラベンとメチルパラベンには遺伝毒性もありますので子孫にとっても良くないわけです[1]。防腐剤の健康への害で比較的知られているのが目薬に含まれる防腐剤で角膜に対する細胞毒性があり刺激になるという報告があります[2]。実際、パラベンなどの合成防腐剤が尿から排泄される量が多い人は活性酸素と炎症も多くなっていることが知られています。

先ほども述べましたがパラベンなどの防腐剤は毎日使う化粧品やシャンプーで肌に触れると体内に入って尿から排泄されます。すでに私たちの身の周りの化粧品や食品は合成防腐剤だらけですのでエイジングケアの観点からは皮膚につけるものや食べるものはなるべく合成防腐剤フリーの無添加商品を選んで減らしていくようにすることをおすすめします。

【参考文献】

  1. In vitro induction of apoptosis, necrosis and genotoxicity by cosmetic preservatives: application of flow cytometry as a complementary analysis by NRU. Carvalho CM et al., Int J Cosmet Sci. 2012 Apr;34(2):176-82. doi: 10.1111/j.1468-2494.2011.00698.x. Epub 2011 Dec 30.
  2. Comparison of Cytotoxic Effects on Rabbit Corneal Endothelium between Preservative-free and Preservative-containing Dorzolamide/timolol. Kwon J et al., Korean J Ophthalmol. 2015 Oct;29(5):344-50. doi: 10.3341/kjo.2015.29.5.344. Epub 2015 Sep 22.

  3.  Consumer antibacterial soaps: effective or just risky? Aiello AE et al., Clin Infect Dis. 2007 Sep 1;45 Suppl 2:S137-47.

  4.  Resistance to bacteriocins produced by Gram-positive bacteria. Bastos Mdo C et al., Microbiology. 2015 Apr;161(Pt 4):683-700. doi: 10.1099/mic.0.082289-0. Epub 2014 Nov 18.

  5. Obesogens: an emerging threat to public health. Janesick AS et al., Am J Obstet Gynecol. 2016 May;214(5):559-65. doi: 10.1016/j.ajog.2016.01.182. Epub 2016 Jan 29.

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