パラベンなどの合成防腐剤は内分泌かく乱物質

合成防腐剤は女性ホルモン(エストロゲン)作用を示し内分泌をかく乱する環境ホルモンですが、実は合成防腐剤は食べ物や化粧品に多く配合されており身の周りにあふれていることをご存知ですか?パラベンやフェノキシエタノールなどの合成防腐剤がまさにそれであり、食べる、化粧品を肌に塗る、吸引することで体内に入り込み尿から排泄されているのです。

では日常使用する多くの化粧品やシャンプーに防腐剤として使われている合成防腐剤のパラベンやフェノキシエタノールなどの内分泌かく乱物質は肌のエイジング(老化)を加速するのでしょうか?この記事では医学論文を参照しながら考察してみたいと思います。

パラベンなどの合成防腐剤は肌から入るのか?

毎日の洗顔に使うクレンジング剤や手洗いのハンドウォッシュ、シャンプー、化粧水や美容液、日焼け止めやクリーム、乳液など多くの化粧品や食品、医薬品にパラベンやトリクロサンなどの合成防腐剤が含まれています。皮膚からは体内に入らないのではないか?そう考えている方も多いのではないかと思います。皮膚から吸収されるかどうかの目安の一つに分子量の大きさがあります。分子量が大体500程度までなら皮膚から吸収されやすいのですがパラベンは分子量200程度の小さな分子ですので皮膚から容易に吸収されます。

アトピーや乾燥肌、敏感肌の方は皮膚バリア機能が低下していますので、健常人の肌より多くのパラベンが体内に入っていくことでしょう。皮膚は免疫組織でもありますので、アトピーの人の皮膚では免疫力が落ちて皮膚常在菌で悪玉菌の『黄色ブドウ球菌』が多くいることが分かっています。この黄色ブドウ球菌が自らのDNAを変異させていくと新しいさまざまな性質を獲得していきますので最終的には多剤耐性黄色ブドウ球菌を生む原因ともなります。

さらに皮膚には表皮と真皮がありますが接触時間が長いほど、またエタノールが多く含まれるほど表皮を超えて真皮まで到達する量が増えます[1]。敏感肌の人は合成防腐剤、エタノールともに刺激を感じやすい成分ですのでパラベンが入っていても少しでも刺激を抑えるためにエタノールを使わない化粧水もあるのです。実際、エタノールは細胞毒性があるため肌のエイジングケアにはよくない化粧品成分と考えられます。

体内からの合成防腐剤の検出

アメリカ人2548人の90%以上の尿からメチルパラベンとプロピルパラベンが検出された[3]、ギリシャ人100人全員の尿中からパラベン、ベンゾフェノン系UVカット剤、ビスフェノールA,トリクロサン、トリクロカルバンが検出された[4]など合成防腐剤が体内から検出されたという報告が相次いでいます。つまりパラベンなどの合成防腐剤が入っている化粧品を使うと必ず肌から吸収され全身をめぐり尿から排出されるということです。

パラベン等の合成防腐剤の老化リスクについて

エストロゲン(女性ホルモン)様の内分泌かく乱作用

パラベンなどの合成防腐剤の多くはエストロゲン様作用を示す内分泌かく乱物質、いわゆる環境ホルモンです。有名な内分泌かく乱物質である缶詰の缶の裏面塗装に使われている『ビスフェノールA』や排気ガスやタバコの煙に含まれている『ダイオキシン』は成長期の子供や子孫への影響、乳がんへの悪影響があることから分かるようにパラベンなどの合成防腐剤も健康に良くないのです。ですので、お子様がいらっしゃる方は乳児のおしりふきは便利ですがパラベンなどの合成防腐剤入りのものは避けたりお湯で洗い流してから使った方がよいでしょう。

意外かもしれませんがパラベンは肥満の原因にもなります。パラベンは脂肪細胞への分化を促進し肥満の原因になり、パラベンの分子に直鎖炭素数(アルキル鎖)が多いほど脂肪細胞を増やす作用が強いため、メチル>エチル>プロピル>ブチルパラベンの順に肥満になるリスクが高ます[5]。肥満は炎症が体中に増えていることが知られており肌の老化も進んでいる状態です。また、妊娠中のパラベンやトリクロカルバン量が多いと早産や低体重児のリスクが増加します[6]。

薬剤耐性・細菌叢の変化

さらに薬剤耐性菌の発生と変異した細菌の増加など皮膚常在細菌叢の変化もあります。ハウスダストなどのほこりには多くの細菌が住んでいますがそのほこりの中の細菌叢に対して防腐剤が耐性菌をどのくらい生み出すのかの実験が報告されています。その実験ではよく化粧品に使われている『トリクロサン』、『トリクロカルバン』および『メチルパラベン』、『エチルパラベン』、『プロピルパラベン』、および『ブチルパラベン』の濃度が高くなるほどに薬剤耐性菌が増える[7]という結果が出たのです。黄色ブドウ球菌は防腐剤に対して自身のDNAを変化させて変異しやすい菌としても知られています[10]。黄色ブドウ球菌は肌を荒れさせる悪玉菌でアトピーの皮膚に多いことが知られています。

ハンドソープによく使われている合成防腐剤(抗菌剤)のトリクロサンは薬剤耐性菌の増加とより病原性の高い細菌叢バランスへと変化させる[8]ことも分かっています。トリクロサンは抗菌スペクトルが広いため黄色ブドウ球菌などの悪玉菌に薬剤耐性菌が出現すると本当に抗生物質が必要な治療の時に厄介なことになります。このように化粧品などの日用品由来の防腐剤は薬剤耐性菌を生み出す温床になっており肌が荒れるだけでなく、洗い流したり尿から排泄されたりして地球環境にばらまいて変異した黄色ブドウ球菌が増えイルカやシャチ、貝など水生生物にも影響を与えるため環境にも優しくない化粧品ということがわかるかと思います。

パラベンやフェノキシエタノールには細胞毒性があり活性酸素を増やす

パラベンやフェノキシエタノールは細胞にとって毒性がある[9]ため活性酸素によるエイジングが加速します。そのためエイジングケアを考えたときには防腐剤無添加の化粧品やシャンプーを使うことで肌の老化対策になると考えられます。さらに外出時に皮膚に残留したパラベンなどの防腐剤が日光の紫外線(UVB)を浴びると活性酸素を発生させる[11]ため外出するたびにさらなる肌の老化が引き起こされることになります。先ほども述べたようにパラベンなどの合成防腐剤は皮膚から体内に浸透し、尿や母乳から排泄されますが紫外線がなくとも体内でパラベンなどの合成防腐剤は活性酸素や炎症を発生させることも報告されています[13]し、ラットを使った皮膚へのパラベン(イソプロピルパラベン、イソブチルパラベン)の塗布実験でも皮膚毒性が報告されています[12]。つまり合成防腐剤は肌のエイジングケアには向かない化粧品成分だということです。特に敏感肌の人はパラベンなどの合成防腐剤で刺激を感じやすいので合成防腐剤不使用の無添加化粧品を使うことをおすすめします。

【参考文献】

  1. Evaluation of the transdermal permeation of different paraben combinations through a pig ear skin model. Caon T et al., Int J Pharm. 2010 May 31;391(1-2):1-6.

  2. Urinary concentrations of four parabens in the U.S. population: NHANES 2005-2006. Calafat AM et al., Environ Health Perspect. 2010 May;118(5):679-85.

  3. Widespread occurrence of bisphenol A diglycidyl ethers, p-hydroxybenzoic acid esters (parabens), benzophenone type-UV filters, triclosan, and triclocarban in human urine from Athens, Greece. Asimakopoulos AG et al., Sci Total Environ. 2014 Feb 1;470-471:1243-9.

  4. Effects of parabens on adipocyte differentiation. Hu P et al., Toxicol Sci. 2013 Jan;131(1):56-70.

  5. Association of birth outcomes with fetal exposure to parabens, triclosan and triclocarban in an immigrant population in Brooklyn, New York. Geer LA et al., J Hazard Mater. 2017 Feb 5;323(Pt A):177-183.

  6. Antimicrobial Chemicals Are Associated with Elevated Antibiotic Resistance Genes in the Indoor Dust Microbiome.  Hartmann EM et al., Environ Sci Technol. 2016 Sep 20;50(18):9807-15. 

  7. Chronic exposure to triclosan sustains microbial community shifts and alters antibiotic resistance gene levels in anaerobic digesters. Carey DE et al., Environ Sci Process Impacts. 2016 Aug 10;18(8):1060-7.

  8. In vitro induction of apoptosis, necrosis and genotoxicity by cosmetic preservatives: application of flow cytometry as a complementary analysis by NRU. Carvalho CM et al., Int J Cosmet Sci. 2012 Apr;34(2):176-82. doi: 10.1111/j.1468-2494.2011.00698.x. Epub 2011 Dec 30.
  9. Paraben resistance in bacteria from sewage treatment plant effluents in India. Selvaraj KK et al., Water Sci Technol. 2013;68(9):2067-73. doi: 10.2166/wst.2013.447.

  10. Methylparaben potentiates UV-induced damage of skin keratinocytes. Handa O et al., Toxicology. 2006 Oct 3;227(1-2):62-72. Epub 2006 Jul 28.

  11. Toxicological evaluation of isopropylparaben and isobutylparaben mixture in Sprague-Dawley rats following 28 days of dermal exposure. Kim MJ et al., Regul Toxicol Pharmacol. 2015 Nov;73(2):544-51. doi: 10.1016/j.yrtph.2015.08.005. Epub 2015 Sep 7.

  12. Reaction of para-hydroxybenzoic acid esters with singlet oxygen in the presence of glutathione produces glutathione conjugates of hydroquinone, potent inducers of oxidative stress. Nishizawa C et al., Free Radic Res. 2006 Mar;40(3):233-40.

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