現在、無添加を謳う化粧品が数多く市販されており、何が無添加なのか知らずに何となく買っていませんか?例えばパラベンフリーといいつつフェノキシエタノールや酸化銀を配合しているなど相変わらず活性酸素で肌を年齢以上に衰えさせる防腐成分が配合されているものも見かけます。エイジングケア化粧品で無添加のものを選びたいなら配合成分のうちどれが活性酸素を発生させてエイジングを加速するのか見抜くだけの知識が必要です。
結論から言いますと、合成防腐剤、合成界面活性剤、合成着色料が不使用の化粧品は必要最低限の条件を満たしたエイジングケア化粧品と言えます。これらの成分が入った化粧品は老化の原因である活性酸素を増やすため毎日使っていると肌の老化が多かれ少なかれ加速すると申し上げておきます。この記事ではエイジングケア化粧品にはこれらの成分が無添加である必要があることを医学論文を参照しながら解説していこうと思います。
エイジングケアに必要な無添加の条件
繰り返しになりますが、無添加化粧品といっても化粧品成分の何が無添加だとエイジングケア化粧品になるのかといえば
- 合成界面活性剤が無添加
- パラベンなどの合成防腐剤が無添加
- キノリンイエローなどの合成着色剤無添加
であることが必要条件です。理由はこれらの成分はすべて老化の原因となる活性酸素を皮膚内部に増やすからです。
合成界面活性剤無添加の化粧品でないとエイジングケア化粧品にならない理由
市販のメイク落としに使うクレンジング剤やシャンプー、乳液やクリームのほとんどは合成界面活性剤でできています。合成界面活性剤入りの化粧品はドラッグストアやスーパーにあふれていますので適当に一つ手に取って化粧品の成分表を見てみてください。ラウリル硫酸~とかドデシル硫酸~が有名ですが合成界面活性剤の種類は多くありますのですべてを挙げたらとてつもなく長いリストができるため今は割愛します。私は現在は洗顔石鹸フォームで髪まで洗いますが、昔家にあったコンビニで買ったシャンプーの成分表には普通に合成界面活性剤が使われていることがわかります。
合成界面活性剤は活性酸素を発生させる
先ほども取り上げた代表的な合成界面活性剤『ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)』で生きた細胞に活性酸素(ROS)が発生するかどうかを調べた実験があります[4]が、結果は合成界面活性剤で細胞膜に活性酸素を増やすことが判明しています。
合成界面活性剤は皮膚から約6mmも浸透する
肌の表面は角質という死んだ細胞で覆われていますが、合成界面活性剤は皮膚深く、約6mmも浸透することも知られています。部位によっては表皮、真皮はもちろん、皮下の筋層にも達するほど深く浸透するため生きた細胞にも余裕で到達するのです。
活性酸素を増やすと分裂能が停止した老化細胞が増える
このように活性酸素が細胞に増えるとまず皮膚のタンパク質(コラーゲン繊維や弾性繊維など)や細胞を構成するタンパク質の劣化が起こります。しかし最も肌を老化させるのは活性酸素で細胞のDNAが傷ついてしまうからです。DNAの傷は活性酸素によって一日に5000ほどもできていることが分かっていますが、完全に修復できない部位も残ってどんどん蓄積するため機能の劣化した細胞になっていきます。
さらに活性酸素で分裂能をもっている幹細胞にDNAに傷がつくとまず細胞分裂を停止するのですが、永久に止まってしまうことも報告されています。この状態はまさに老化細胞そのものですので活性酸素を浴び続けると老化細胞が増えていくのです。その結果、皮膚のボリュームも減りハリが失われ傷も治りにくいなどまさに高齢者の皮膚と同じ肌になっていきます。
この老化細胞は分裂しなくなった後も長く生き続けますが性質ががらりと変わってしまいます。分裂を停止した老化細胞は炎症性サイトカインを増やし炎症を発生させ活性酸素を増やしたり、コラーゲン繊維を溶かすMMPという酵素を出すようになるためますます肌の老化が加速するようになります。老化細胞が老化加速状態に変化する現象を専門用語でSASPと言い、なぜ加齢とともに癌が増えシワやたるみが増えるかの老化の仕組みの一つです。
合成界面活性剤の細胞毒性で細胞が減りハリが失われ毛穴も目立ってくる
もう合成界面活性剤のエイジング作用に関して悪い点を挙げればきりがないのですが、この記事を読んでいるエイジングケアを本気で考えている人のためにもう少しだけ書いておきます。合成界面活性剤はこのように皮膚から浸透し生きた細胞にとって毒ですからコラーゲン線維などの細胞間マトリックスや細胞が減っていきます。その結果、皮膚が薄くなりハリがなくなる、毛穴周囲の細胞が特に細胞毒性でやられやすいため毛穴が広がって目立つようになります。
合成界面活性剤は皮膚バリア機能を壊し免疫機能を低下させる
美容と健康に詳しい人なら肌のバリア機能が正常で保湿されていると見た目も若々しい綺麗な肌になると聞いたことがあるかもしれません。肌のバリア機能とは肌の外側を覆っている角質層、その直下の顆粒層、それらの細胞を増やしている幹細胞が正常に機能して皮膚内部の水分が蒸発しないように乾燥を防ぎ細菌や微粒子などの異物を排除する機能のことです。
洗剤は洗顔などで洗い流したと思っていても角質層に一部洗剤が残っています。石けんと異なり合成界面活性剤は洗い流しても油汚れを取り除く作用(界面活性作用)が残っており肌の皮膚バリアを構成しているセラミドやNMFといった保湿成分まで取り除いてしまう作用が強いため長年使用していると老化した肌に似た乾燥肌や敏感肌、くすみが年齢以上に現れてきます。
角質バリア機能が低下すると黄色ブドウ球菌も増える
皮膚のバリア機能が壊れるとくすみが生じて暗く見えるだけでなく肌荒れなどの炎症も起きやすくなります。これは大気汚染物質などの異物や黄色ブドウ球菌などの細菌が入り込みやすくなるためと皮膚のターンオーバーがおかしくなるためです。また、角質層は免疫機能も持っていますので合成界面活性剤の多用で角質バリア機能が低下すると、肌の免疫機能で悪い細菌を排除しにくくなることもあります。角質バリア機能が壊れると悪玉菌である黄色ブドウ球菌が繁殖するためますます皮膚バリアを壊していき、細菌の毒素によりエイジングが進んでハリのない老化した肌になっていくのです。つまり合成界面活性剤は皮膚の保湿成分を溶かしてバリア機能を低下させることで皮膚免疫を低下させ、そのバリア機能の低下が悪玉菌の繁殖を招くという負のスパイラルに陥っていると言えます。そのためエイジングケアの観点からは日常使用する化粧品には合成界面活性剤でできたものは皮膚バリア機能の低下と細胞毒性があるため全く向かないと言えます。
パラベンなどの合成防腐剤がエイジングケア化粧品にはあまりよくない理由
よく化粧品に配合されている防腐剤の一つがパラベンで名前は聞いたことがある方も多いと思います。最近、手洗い洗剤が発売中止になったのをご存知でしょうか?これはアメリカ食品医薬品局(FDA)が抗菌石けんに含まれる抗菌剤や防腐剤は逆に皮膚免疫を低下させる恐れがあると発表した[1]ことを受けて日本の洗剤メーカーが販売を取りやめたのです。ちなみに現在は手術室でもどんどん抗菌洗剤を使わなくなっています。逆に耐性菌やDNAを変質させたおかしな細菌を生み出して危険だからです。ある薬剤に対して耐性をもつと他の薬剤に対しても耐性を発揮するようになる現象が知られており『交差耐性』と呼ばれます。近年のMRSAによる術後感染や多剤耐性黄色ブドウ球菌のニュースが多くなっているのは化粧品や食べ物に合成防腐剤を多用してきたからだと考えています。
黄色ブドウ球菌は薬剤に対して変異しやすい菌
皮膚の健康と美容に関与しているのが皮膚常在菌です。表皮ブドウ球菌や黄色ブドウ球菌などが主な常在菌ですが、これらのうち黄色ブドウ球菌はアトピーの人の皮膚に多く見つかっており肌荒れを起こす細菌として知られています。ですのでアトピーや敏感肌など皮膚バリアが壊れて免疫が落ちている人にはパラベンなど合成防腐剤フリーの化粧品をおすすめするわけです。しかも黄色ブドウ球菌は防腐剤や抗菌剤に触れると自身のDNAを変化させやすい菌として知られているのです。
合成防腐剤は皮膚から浸透し生きた肌の細胞にも触れている
さらにパラベンをはじめとする合成防腐剤は身の周りの多くの化粧品や美容液に配合されていますが皮膚から簡単に浸透して尿から排泄されますので当然生きた肌の細胞にも老化ダメージを与えています。パラベンなどの合成防腐剤は老化の原因である活性酸素との関連が知られています[3]。この調査報告によると、尿中から排泄されるパラベンの量が多いほど活性酸素が多く、炎症レベルも高いことがわかりました。つまりパラベンなどの合成防腐剤入りの化粧品はエイジングが加速し年齢以上にハリがなくなりシワも増えることになると考えられますのでパラベンなどの合成防腐剤はエイジングケア化粧品にはあまり入れたくない防腐剤です。
合成着色料もエイジングケアには不要な成分
合成着色料は昔から普通に化粧品や食べもの、医薬品など広く使われてきました。安く安定して色合いの調整ができるためです。しかしエイジングケアの観点からは語られることはいままでありませんでした。キノリンイエロー(黄色)やスダンレッド(赤)などは分子量も小さめで油にも溶けますので皮膚からも浸透しやすい合成着色料と考えられます。そしてそれら合成着色剤が生きた皮膚細胞に触れると活性酸素が増えてDNAにダメージを与えることが報告されています。つまり合成着色料も細胞に毒であり皮膚のエイジング加速する成分だということです。
【参考文献 】
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FDA issues final rule on safety and effectiveness of antibacterial soapsRule removes triclosan and triclocarban from over-the-counter antibacterial hand and body washes. September 2, 2016 -
- Associations between urinary phenol and paraben concentrations and markers of oxidative stress and inflammation among pregnant women in Puerto Rico. Watkins DJ et al., Int J Hyg Environ Health. 2015 Mar;218(2):212-9. doi: 10.1016/j.ijheh.2014.11.001. Epub 2014 Nov 18.
- Sodium Lauryl Sulfate Stimulates the Generation of Reactive Oxygen Species through Interactions with Cell Membranes. Mizutani T et al., J Oleo Sci. 2016 Dec 1;65(12):993-1001. Epub 2016 Nov 9.
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