グルコシルセラミドを食べるとセラミドが増える

肌の保湿システムの一つがスフィンゴリン脂質の一つである『セラミド』を主要成分とした細胞間脂質です。セラミドの前駆体は『グルコシドセラミド』ですが、前駆体を食べると目的の成分が増えることは生体内でよくあります。そこでこの記事ではグルコシルセラミドを食べることで皮膚の保湿成分であるセラミドを増やすことができるか医学論文を参照しながら考察してみたいと思います。

細胞間脂質の主成分『セラミド』とは

保湿液にも配合されることがあるセラミドにはセラミド1~7まであり、コレステロールや脂肪酸とともに細胞間脂質の一つで皮膚保湿機能を担っています。先ほども述べましたがセラミドはスフィンゴリン脂質で前駆体であるグルコシルセラミドおよびスフィンゴミエリンから作られ[1]ます。実際にはセラミドは上皮の角化に伴ってグルコシルセラミドから酵素で分解されてできます。

セラミドは細胞間脂質の主な成分ですが肌の水分を保つためにセラミド分子中の水溶性の高い部位に水をくっつけて水分を保持しています。そのため細胞間脂質は脂溶性の端と水溶性の端が交互に層をなして整然と並んでいます(ラメラ構造)。クレンジング剤やシャンプーに含まれている合成界面活性剤などの洗剤で洗うとこの細胞間脂質までも溶け出してしまうため毎日せっせと合成界面活性剤で体を使っていると年単位でどんどんカサカサの乾燥肌になっていきます。

皮膚バリアの『タイトジャンクション』とは

角質層の真下にある『顆粒層』の細胞同士をつないでいる『タイトジャンクション』は保湿能に重要な機能を持っており、紫外線照射でタイトジャンクションがダメージを受けて皮膚バリア機能が低下するため紫外線による皮膚老化の原因ともなっています[2]。

先ほど説明したセラミドの前駆体『グルコシルセラミド』は生理活性を持っていて『claudin-1(クローディン)』という遺伝子発現を増強し紫外線ダメージを受けた上皮のタイトジャンクションを強化します[3]。角質がない口腔内や腸内の粘膜ではこのタイトジャンクションバリアで細菌が入り込まないようにしていますが、悪玉菌である歯周病菌(特に病原性が高い3種のRed Complex)はこのタイトジャンクションを溶かす能力が高いので歯肉炎や骨まで炎症を起こすのです。

皮膚でも角質層の1段下は顆粒層ですので粘膜と同じようにタイトジャンクションで皮膚のバリア機能を担っています。紫外線はタイトジャンクションを壊す環境ストレスですので細胞間の結合が緩み水分の蒸発が起こり乾燥肌なったり細菌や毒素などの異物が表皮に入り込み炎症と活性酸素を増やして肌が老化しやすくなります。アトピーの肌はこのタイトジャンクションが緩くなって皮膚バリア機能が低下しており、黄色ブドウ球菌が繁殖していることが知られています。

グルコシドセラミドの皮膚バリア改善効果まとめ

グルコシドセラミドを食べることで炎症性サイトカインを抑制し皮膚バリアが壊されていくのを防止したり[5]、角質層中のセラミドを増やして保湿力を高めてくれます。さらにグルコシドセラミドの摂取で顆粒層の細胞間タイトジャンクションを強化して紫外線でダメージを受けた皮膚バリア機能を治してくれる作用もあります。ただ、セラミドが増えるからといってスフィンゴリン脂質を食べすぎると寿命が短くなることも動物実験では報告されていますのでほどほどにしてください。

【参考文献】

  1. Human epidermal glucosylceramides are major precursors of stratum corneum ceramides. Hamanaka S et al., J Invest Dermatol. 2002 Aug;119(2):416-23.

  2. Could tight junctions regulate the barrier function of the aged skin? Svoboda M et al., J Dermatol Sci. 2016 Mar;81(3):147-52. doi: 10.1016/j.jdermsci.2015.11.009. Epub 2015 Nov 28.

  3. Dietary glucosylceramide enhances tight junction function in skin epidermis via induction of claudin-1. Kawada C et al., Biosci Biotechnol Biochem. 2013;77(4):867-9. Epub 2013 Apr 7.

  4. Changes in ceramides and glucosylceramides in mouse skin and human epidermal equivalents by rice-derived glucosylceramide. Shimoda H et al., J Med Food. 2012 Dec;15(12):1064-72. doi: 10.1089/jmf.2011.2137. Epub 2012 Dec 10.

  5. Oral administration of glucosylceramide ameliorates inflammatory dry-skin condition in chronic oxazolone-induced irritant contact dermatitis in the mouse ear. Yeom M et al., J Dermatol Sci. 2012 Aug;67(2):101-10. doi: 10.1016/j.jdermsci.2012.05.009. Epub 2012 Jun 7.

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