乳酸菌食品を食べると美肌になるの?

乳酸菌は昔から健康や美容にいいと言われてきましたが、乳酸菌は本当に美容と健康にいいのでしょうか?もしそうだとしたら、乳酸菌を食べるとなぜ美肌効果が出るのでしょうか?今回は善玉菌として有名な乳酸菌(Lactobacillus)を口から摂取したときの肌のアンチエイジング効果について医学論文を参照しながら検証してみます。

乳酸菌の美肌効果

皮膚バリア機能(保湿機能)の強化

健康な皮膚バリア機能は皮膚のアンチエイジングには非常に大切ですが乳酸菌は美肌にも役に立つことが報告されています。

このように腸内細菌にとって乳酸菌が健康に良い理由の一つは肌の免疫バランスを整え過剰な炎症反応を抑えてくれる『免疫調整作用』があるからです。皮膚においてもバリア機能が回復し、乾燥肌はもちろん敏感肌も改善され美肌に導くのです

アトピーの改善効果

アトピーなどのアレルギーにも効果がありこちらも様々な種類の乳酸菌でアトピー症状の改善の報告があります。以下にアトピーを改善したという報告のある乳酸菌を列挙します。

  • 乳酸菌のサケイ菌はアトピー症状を軽減します[3]
  • 乳酸菌のサリバリウス菌はアトピーの臨床症状を改善します[4]
  • 乳酸菌のプランタルム菌は腸内の免疫に影響を与えてアトピー性皮膚炎を抑制します[5]
  • 乳酸菌のデルブルエキ菌はアトピーの進行を抑制します[9]

先ほども述べましたが乳酸菌は皮膚だけでなく腸内でも免疫バランスを整え炎症やアレルギー反応を抑えてくれます。実際、アトピーの肌には悪玉常在菌の黄色ブドウ球菌が繁殖しているということも判明していますし、乳酸菌は腸壁のバリア機能を高める[13]ことで毒素や未消化の栄養素、細菌が体内に入りづらくなり、アトピーなどのアレルギー症状が軽減されると考えられています。このように腸への影響が皮膚にも現れることを『腸-皮膚連関』と言います。

ニキビの改善効果

ニキビは皮脂の酸化やアクネ菌の繁殖で起きる炎症が原因ですが乳酸菌はニキビにも一定の効果が報告されています。ニキビの原因には酸化した皮脂(脂肪酸)やアクネ菌による上皮の炎症があります。乳酸菌ラムノサスはニキビを改善し[6]ますが、これも乳酸菌の免疫バランスを整える作用で炎症が軽減するとニキビも軽減すると考えられます。

紫外線による日光老化予防

紫外線は肌の老化を加速するため、紫外線対策はエイジングケアを実践するためには絶対に必要なスキンケアです。なんと乳酸菌の摂取は紫外線対策にも使えることが判明しています。以下に乳酸菌摂取で紫外線による肌の老化現象を改善したという報告がある乳酸菌を列挙します。

  • 乳酸菌の細胞壁はリポテイコ酸(LTA)でできていますが乳酸菌のラムノサス菌由来のリポテイコ酸の摂取はIFN-γおよびヘルパーTと細胞障害性T細胞の量を増やすことで紫外線による皮膚癌を抑制しします[7]
  • 死菌の乳酸菌アシドフィルスはUVBによるMMPの産生を抑制しシワの発生を減らします[8]
  • 乳酸菌プランタルム由来リポテイコ酸(LTA)はMMP産生を抑制して日光老化を抑制します[9]
  • 乳酸菌ジョンソニとベータカロテンのサプリはUVによる皮膚の日光老化を抑制します[10]

紫外線を肌に浴びるとコラーゲン繊維を切断する『MMP』という酵素が放出されますが、リポテイコ酸はこのMMPを抑制しますのでコラーゲン繊維の減少や弾性の低下による肌の老化を予防します。その結果、顔のシワやたるみといった老化対策となるのです。このようにさまざまな乳酸菌が肌の紫外線対策に有効だという報告がなされています。リポテイコ酸は細菌が生きていても(生菌)死んでいても(死菌)含まれているためどちらを食べても紫外線対策に有効なのです。

末梢血管の血流の増加作用

老化してくると皮膚などの抹消組織ほど血流が少なくなるため顔の肌の色も黄ばんできます。血液は酸素と栄養を運んでくれるのですから血流が少なくなると皮膚に栄養が行き届かなくなるため肌の老化が加速します。

乳酸菌はこのような皮膚血流を増やして顔の色を整えます。人間の顔の老化現象の一つに顔の肌色があります。加齢とともに肌の色は黒ずんで黄ばんできます。若いころは赤味を帯びて白い肌だったと思いますが、この赤味は肌の抹消血管内のヘモグロビンの色です。加齢とともに肌の抹消血管が細くなり表面には少なくなっていき、表皮が薄く透明になるため真皮の色が現れてどんどん黄ばんで見えるのです。乳酸菌のブレビス菌の死菌の摂取は皮膚抹消血管の血流を増やし保湿機能を高めることが報告されており[11]、くすみや顔の黄ばみ対策にもなります。

真皮層の厚みの増加作用

老化したり合成界面活性剤を使用したクレンジングをしていると肌のボリュームが減るため真皮層が薄くなりハリがなくなってくるため顔が老化してきますが、乳酸菌などの善玉菌はこの真皮層の厚みを回復する働きも報告されており、プロバイオティクスを摂取すると真皮の厚みが増しハリが回復します[14]。

腸-皮膚-脳連関

腸は肌に影響を与え、上で解説してきたように乳酸菌は腸の状態を整え間接的に肌を綺麗にします。分かりやすい例では『潰瘍性大腸炎』は免疫に重要な働きを持つ樹状細胞が制御されず乱れた状態にあり皮膚症状を伴うのですが、乳酸菌のカゼイシロタ菌はこの免疫機能の恒常性を回復して潰瘍性大腸炎を緩和します[12]。

またある報告では乳酸菌のラムノサス菌は腸バリア機能を強化して巨大分子による腸ダメージから守り腸内免疫力を高め将来の感染症に対する抵抗性を高めます[13]。さらに乳酸菌のロイテリ菌を摂取すると血漿中の抗炎症サイトカインであるIl-10が増加し炎症性サイトカインであるIL-17が減ることが報告されています。乳酸菌はストレスで引き起こされる皮膚の炎症症状を腸脳皮膚連関で一部は迷走神経を介して緩和することが知られています[14]。

近年『「グルテンフリー』商品を見かけることが多くなりました。この小麦に含まれるグルテンは一般にはタンパク質に分類される乳化剤(界面活性剤)で腸の炎症とアレルギーリスクが高いことで知られています。乳酸菌は腸のバリア機能を高めて未消化の食べ物や毒素、細菌が体内に入り込まれないようにしています。このように乳化剤(界面活性剤)はバリア機能を低下させる作用があり、有名なものとしては『コムギ加水分解物』を洗剤に混ぜ込んで皮膚の免疫細胞に補足されコムギアレルギーになった『茶のしずく』事件がありました。この事件で学ぶべきことは界面活性剤とともに乳化化粧品にいろんな成分が入っていると皮膚から食物アレルギーになるリスクが高まるということです。

まとめると、乳酸菌は腸内の免疫のバランスを整え(ホメオスタシス)乱れた免疫機能を回復してくれます。以前は腸-脳連関と言われていましたが現在は腸-皮膚-脳連関と考えられています。そのため精神的ストレスで活性酸素による炎症が発生して[15]肌の荒れを引き起こしても乳酸菌による免疫バランス調整作用で肌荒れを緩和し肌のエイジングケアに役立っているのです。

【参考文献】

  1. Clinical Evidence of Effects of Lactobacillus plantarum HY7714 on Skin Aging: A Randomized, Double Blind, Placebo-Controlled Study. Lee DE et al., J Microbiol Biotechnol. 2015 Dec 28;25(12):2160-8. 

  2. Immune modulation property of Lactobacillus paracasei NCC2461 (ST11) strain and impact on skin defences. Benyacoub J et al., Benef Microbes. 2014 Jun 1;5(2):129-36.

  3. Atopic dermatitis-mitigating effects of new Lactobacillus strain, Lactobacillus sakei probio 65 isolated from Kimchi. Kim JY et al., J Appl Microbiol. 2013 Aug;115(2):517-26. .

  4. Effects of Lactobacillus salivarius LS01 (DSM 22775) treatment on adult atopic dermatitis: a randomized placebo-controlled study. Drago L et al., Int J Immunopathol Pharmacol. 2011 Oct-Dec;24(4):1037-48.

  5. Lactobacillus plantarum NCIMB8826 ameliorates inflammation of colon and skin in human APOC1 transgenic mice. Mariman R et al., Benef Microbes. 2016;7(2):215-25. 

  6. Supplementation with Lactobacillus rhamnosus SP1 normalises skin expression of genes implicated in insulin signalling and improves adult acne. Fabbrocini G et al., Benef Microbes. 2016 Nov 30;7(5):625-630. Epub 2016 Sep 6.

  7. Lipoteichoic acid from Lactobacillus rhamnosus GG as an oral photoprotective agent against UV-induced carcinogenesis. Weill FS et al., Br J Nutr. 2013 Feb 14;109(3):457-66.

  8. Potential for tyndalized Lactobacillus acidophilus as an effective component in moisturizing skin and anti-wrinkle products. Im AR et al., Exp Ther Med. 2016 Aug;12(2):759-764. Epub 2016 May 31.

  9. Probiotic Lactic Acid Bacteria and Skin Health. Jeong JH et al., Crit Rev Food Sci Nutr. 2016 Oct 25;56(14):2331-7. 

  10. Clinical evidence of benefits of a dietary supplement containing probiotic and carotenoids on ultraviolet-induced skin damage. Bouilly-Gauthier D et al., Br J Dermatol. 2010 Sep;163(3):536-43. 

  11. Effect of heat-killed Lactobacillus brevis SBC8803 on cutaneous arterial sympathetic nerve activity, cutaneous blood flow and transepidermal water loss in rats. Horii Y et al., J Appl Microbiol. 2014 May;116(5):1274-81. 

  12. Dysregulated circulating dendritic cell function in ulcerative colitis is partially restored by probiotic strain Lactobacillus casei Shirota. Mann ER et al., Mediators Inflamm. 2013;2013:573576. 

  13. Interaction of orally administered Lactobacillus rhamnosus GG with skin and gut microbiota and humoral immunity in infants with atopic dermatitis. Nermes M et al., Clin Exp Allergy. 2011 Mar;41(3):370-7. 

  14. Probiotic bacteria induce a ‘glow of health’. Levkovich T et al., PLoS One. 2013;8(1):e53867. 

  15. 活性酸素が炎症・アレルギー反応を活性化する新たな仕組みの発見 科学技術振興機構(JST)平成17年4月28日 

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