シミを改善する美白化粧品について

肌のシミは加齢現象の一つですがどのようにしてシミが増えるのでしょうか?この記事ではシミができる原因とシミを改善する美白化粧品について医学論文を参照しながら考察してみたいと思います。

シミができる原因

加齢による自然な老化だけでなく外で紫外線を浴びる機会が多い人ほどシミが年齢以上に増えます。シミができる仕組みはメラニン色素の過剰放出などのメラノサイトのDNAの異常、メラニン色素を排出する角質のターンオーバーの低下ですので、シミ対策として使われる美容液に求められる仕組みはメラニンの黒い色素を減らすかターンオーバーを早めるかのどちらかに作用していることになります。例えば、後で述べる美白剤のビタミンC誘導体やビタミンE誘導体はメラニン色素が黒くならないように『チロシナーゼ阻害』作用を持っているため[2]シミを改善する美白剤となります。

シミの黒い色の元はメラニン色素

まずシミの原因であるメラニン色素がどのように黒くなるのかについて仕組みをわかりやすく解説しておきます。シミはメラニン色素の生成とメラニン色素を作る細胞『メラノサイト』と関係しています。メラノサイトは『基底層』という表皮の一番下に存在して一個のメラノサイトは約36個の表皮細胞に囲まれています。このメラノサイトと表皮細胞の集まりを『表皮メラニン単位』と呼びます。

メラニン色素には2種類あってシミの黒色『ユーメラニン』黄色~赤色の『フェオメラニン』です。メラニン色素はメラノサイト内の『メラノソーム』という小さな袋に入っていて周囲の表皮細胞に輸送されます。メラノソーム内では『チロシナーゼ』という酵素が働いて『チロシン』から『ドーパキノン』に変換されてメラニン色素の元ができます。このドーパキノンができると自動的に反応が進んでメラニン色素がどんどん黒くなっていきます。一方、ドーパキノンができた段階でアミノ酸の『システイン』と反応すると、ドーパキノンは赤色~黄色のフェオメラニンに変わっていきます。美白剤の作用点のひとつとしてドーパキノンができるのを阻害する『チロシナーゼ阻害』がある理由です。シミがなぜできるのかですが、皮膚の細胞のDNAに傷がつくとメラノサイトであればメラニン色素が止まらなくなったり、上皮細胞の幹細胞であれば分裂が止まってターンオーバーが遅れメラニン色素が排出されにくくなるためシミとして現れます。

紫外線をはじめDNAに傷を与えるものを避ける

活性酸素や紫外線(UV)でメラノサイトのDNAに傷が残ってしまうと機能がおかしくなってメラニン色素を多量に出すようになることがあります。メラノサイトに活性酸素を増やすものとして紫外線や大気汚染物質SLS(ラウリル硫酸ナトリウム)などの合成界面活性剤パラベンなどの合成防腐剤合成着色料など私たちの生活にあふれています。そこでシミを増やさないためには紫外線対策(日傘やフェイスカバー、ビタミンC誘導体、ビタミンE誘導体の塗布など)やクレンジング液やシャンプーに大量に入っている合成界面活性剤を日常生活から少しづつ減らしていくことが挙げられます。ビタミンEは分子構造上UVを吸収しながら活性酸素を減らす作用があるため紫外線対策に有効な脂溶性ビタミンです。DNAの傷は若いときから蓄積していくことが知られていますので特に成長期ほど肌のDNAの傷を減らすことがシミ対策に大切になります。

それではこのシミができる仕組みを踏まえてどのような美白化粧品があるのか見ていきましょう。

シミを改善する化粧品とは?

シミを改善する美白剤成分

チロシナーゼ阻害剤

黒いシミやくすみの原因でもあるメラニン色素が黒くなるのはチロシナーゼ酵素が働いて『ドーパキノン』が合成されることからスタートしていました。ですのでチロシナーゼを阻害してやればドーパキノンが作られなくなるためメラニン色素が黒くなるのを防ぐことができます。よく果物や野菜を放置すると黒くなっていきますよね?これがチロシナーゼの作用で食べ物が黒くなるのでチロシナーゼ阻害剤の研究は化粧品業界だけでなく食品業界でも進んでいます。

また、先ほども述べたようにメラニン色素にはフェオメラニンという目立たない色のメラニン色素があります。フェオメラニンはシステインがあるとドーパキノンから合成されるのでシステインを増やすという方法でも美白化粧品ができることになります。

このようなチロシナーゼ阻害剤には代表的な『ビタミンC(アスコルビン酸)』をはじめとしてビタミンE誘導体、アセロラ、黒桑から抽出された『ポリフェノール類』、クマコケモモに含まれる『アルブチン』、アロエに含まれる『アロエシン』、大豆麹に含まれる『ヒドロイソフラボン』や『コウジ酸』、パンフルーツやクララというマメ科の植物から得られる『レゾシノール』などさまざまな美白成分があります。

ビタミンC誘導体とビタミンE誘導体美容液について

ビタミンC誘導体とビタミンE誘導体配合の美容液はどちらもチロシナーゼを阻害し、抗酸化作用もあるため有効な美白化粧品です。仕事などで外出するときに日傘がさせないこともあるでしょうから紫外線対策としてビタミンC誘導体ビタミンE誘導体入りの美容液を下地にでも塗って出かけるといいでしょう。ビタミンC誘導体やビタミンE誘導体は空気中でも酸化されにくく安定性が高い化粧品成分で、皮膚から浸透して皮膚内でフォスファターゼという酵素によって徐々に分解されてビタミンCやビタミンEを放出します。ビタミンCとビタミンEはお互いに酸化還元作用で補いあうため相乗効果があります。

注意点としてエイジングケア化粧品は合成防腐剤フリーや合成界面活性剤不使用の美容液を選ぶべきです。これら活性酸素を増やし皮膚バリアを低下させるような成分を毎日肌につけていると肌の老化が加速しますのでエイジングケア化粧品成分として好ましくないからです。

アルブチンの美白作用

ハイドロキノン誘導体であるアルブチンもチロシナーゼを阻害してメラニン色素で肌にシミができるのを抑制します。アルブチンはコケモモなどに含まれる天然の美白成分で多くの美白化粧品に配合されています。アルブチンにもメラニン色素が黒くなっていく過程で増える活性酸素も抑制する抗酸化作用もあり[3]ます。

ターンオーバーを促進する化粧品成分

メラニン色素ができてもターンオーバーを速めてやれば垢として剥がれ落ちていきますので皮膚の新陳代謝を促進する化粧品成分は美白剤になります。このようなターンオーバーを改善する化粧品成分にレチノール(ビタミンA)があります。しかし、ビタミンA配合化粧品は刺激が強く継続できない人もいるため植物エキスでビタミンAと同様な効果を持つものも美白化粧品に使われています。キク科のハーブであるビデンスピローサエキスはビタミンAの別の核内受容体に結合する成分が含まれているためビタミンA化粧品ほどの刺激を感じずに皮膚のターンオーバーが促進され美白作用が働くと考えられます。

抗酸化剤・抗炎症剤

炎症や活性酸素が増えるとメラノサイトがメラニン色素を合成しますので酸化や炎症を抑えることも有効です。抗酸化作用を持つ成分は多くあるため挙げるときりがないですが、有名な抗酸化性能を持つ美白化粧品の成分として先ほどのビタミンC(アスコルビン酸)とビタミンEがあります。ビタミンCやビタミンEは化粧品として配合してしまうと空気中の酸素で酸化していくため逆に肌のシミを増やすくことになりますので誘導体の形にして安定性を高めることが必要です。また、植物エキスに含まれるポリフェノール類は抗酸化作用を持つものがほとんどです。

その他美白化粧品成分

植物エキスのなかでも甘草やレモンエキスは人気があります。ただレモンエキスは刺激が強いので少量しか配合できません。玉ねぎやキウイフルーツに含まれる『ケルセチン』はチロシナーゼを阻害します。また、天然成分で美白作用があるとして使われるものに抗炎症作用がある海ぶどうエキスもあります。ビタミンB3(ナイアシン)の基ともなるナイアシンアミド(ニコチンアミド)はメラノサイトで作られたメラノソームが周囲の表皮細胞に輸送されるのを防ぐ作用があります。

気を付けるべき美白化粧品

ハイドロキノン

効果的な美白剤成分に『ハイドロキノン』があります。ハイドロキノンは海外では規制されているところもありその毒性が問題視されています。というのもハイドロキノンは突然変異を引き起こしたり組織黒変症(オクロノーシス)と関係があるからです。先ほどの『アルブチン』もハイドロキノン化合物ですのでアルブチン配合の美白化粧品はハイドロキノンの毒性が出ない濃度でないと危険な理由ですのでご注意ください。

ロドデノール

カネボウの『ロドデノール』は以前に白斑事件を起こした成分として有名になりました。ロドデノールはメラノサイトのDNAを破壊してしまうため肌の色が真っ白に抜けてシミ以上に目立つようになったのです。ですので美白化粧品は使用を中止したらメラニン色素が再度合成させるものでなくてはなりません。

エマルジョン(乳化された化粧品)

加齢肌、乾燥肌、敏感肌の人は皮膚バリア機能が低下していますので成分が体内にしみこみやすいため注意すべきです。乳化化粧品(エマルジョン)は成分を皮膚から浸透しやすくするために乳化剤(界面活性剤)で水と油が混じるようにされていますので皮膚バリア機能が低下して肌がどんどん乾燥していき肌は白くなるけど乾燥がひどいという状態になります。乳化剤でも合成界面活性剤で乳化された化粧品は細胞毒性もあるため肌のエイジング(老化)も加速します。以前茶のしずくという小麦加水分解物が配合された石鹸で皮膚から食物アレルギーに感作してしまったという事件がありましたが、界面活性剤(乳化剤)により皮膚バリアを低下させることでさまざまなものが浸透していくことが実際に示された出来事でした。

【参考文献】

  1. The hunt for natural skin whitening agents. Smit N et al.,Int J Mol Sci. 2009 Dec 10;10(12):5326-49. doi: 10.3390/ijms10125326.

  2. Novel vitamin E derivative with 4-substituted resorcinol moiety has both antioxidant and tyrosinase inhibitory properties. Shimizu K et al., Lipids. 2001 Dec;36(12):1321-6.
  3. Alleviation effect of arbutin on oxidative stress generated through tyrosinase reaction with L-tyrosine and L-DOPA. Tada M et al., BMC Biochem. 2014 Oct 9;15:23. doi: 10.1186/1471-2091-15-23.

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