乳化化粧品(エマルジョン)の使用はエイジングケアになるの?

世の中には乳化剤を使用してエマルジョン(水と油が混じり合ったもの)になった化粧品や食べ物がたくさんあります。肌につけるクリームや乳液もエマルジョンであり皮膚を綺麗にするかのような美容液や基礎化粧品も多くありますが、果たして水と油を混ぜ合わせる作用(界面活性作用)がある乳化剤を使用してエマルジョンにしたクリームや乳液を毎日使用して肌のエイジング(老化)には影響がないのか興味がわきましたので医学論文を参照して考察してみたいと思います。

クリームや乳液などのエマルジョンには乳化剤が使われている

クリームや乳液は水と油が混じり合っている乳化製品(エマルジョン)です。水と油は通常は分離しますが、水と油をなじませる(界面活性)作用がある乳化剤(界面活性剤)を配合するとミルクのような『エマルジョン』となります。ちなみに洗剤は界面活性剤そのものでできている典型的な日用品です。以前、茶のしずくという洗剤でコムギアレルギーが発症した記事を書き、この中で洗剤に”美容成分”などと称したオーガニックやら合成成分を配合することの危険性を示しました。

通常、皮膚は皮脂や細胞間脂質で保湿されており水をはじくようにできていますがエマルジョンであるクリームや乳液に含まれている乳化剤の作用で皮膚バリアを弱くして通常は浸透しにくい有効成分を皮膚から浸透しやすくします。この仕組みは例えば殺菌成分クロルヘキシジン(CHX)を有効成分として配合したオロナイン軟膏(クリーム)などの医薬品で昔から使われてきました。でもシャンプーやクレンジング剤などの洗剤、乳液やクリームなどのエマルジョンは医薬品ではなく毎日使うスキンケア用品ですので日常的に皮膚バリアが常に低下してしまうため肌が汚くなっていきます。皮膚バリア機能が低下すると先ほど述べたようにいろいろなものが浸透しやすくなり、その異物に対するアレルギーの発症や炎症や活性酸素を引き起こす危険性が高まるのです。さらに悪玉菌の黄色ブドウ球菌は皮膚バリアが低下するほど増殖するため炎症が起こって肌荒れが起こることにもなります。

乳化された化粧品(エマルジョン)を減らしていくことがエイジングケアになる理由

先ほどの茶のしずく事件の例から考えると、乳化剤を使用したエマルジョン化粧品は皮膚バリア機能を低下させることでさまざまな成分が肌に入り込んでいくため、なるべく洗剤やエマルジョンは余計なものを配合しないシンプルな化粧品の方が安全性が高いことが示唆されます。

さらには使用されている乳化剤が皮膚や粘膜などの細胞にどのような効果を発揮するのか調べることも重要です。乳化剤でもっともエイジングを加速するものとして合成界面活性剤が挙げられます。合成界面活性剤は水と油を混ぜ合わせエマルジョンにするだけでなく、生きた細胞に触れるほど深く浸透し活性酸素を細胞内に発生させ肌の老化を招きます。ちなみに乳化剤は合成された乳化剤だけでなく天然由来の乳化剤も多くあり、化粧品から食べ物までさまざまな乳化製品が出回っています。

当然、乳化剤は食べても腸管のバリアがやられる

乳化剤を食べるとどうなるのでしょうか?乳化剤つまり水と油を混ぜ合わせる界面活性作用を持つ成分は化粧品だけでなく食器洗い洗剤や乳製品など食品にも含まれています。ある報告では刃物やお皿の不十分な水洗いや乳化剤を含んだ食品を食べることで非常に微量でも腸管のバリア能を低下させ腸内細菌の侵入が容易になるとしています[1][3]。洗剤はクレンジング剤やクリーム、乳液と同じ化粧品類ですのでわかりやすいですが食品に含まれる乳化剤とはどのようなものがあるのでしょうか?身近な乳化剤として挙げると、植物にはレクチンという糖タンパクが含まれており界面活性作用があります[2]。有名なレクチンにはグルテンやカゼインがありますし、ナス科やマメ科の植物にはレクチンが多いことで知られています。グルテンフリー食品がなぜ増えているのかなぜ牛乳は体に悪いと考える人がいるのかの根拠にもなります。合成の乳化剤でよく食品に添加されているものとしてはカルボキシメチルセルロースやポリソルベート80があります。

腸粘膜は腸内細菌との距離を保って細菌による毒素から守られているのですが、少量の乳化剤でも腸粘膜の界面性状が変化し軽度の炎症が起こり、日常的に食べると大腸炎や肥満になることも知られています[5]。この肥満自体も体内に炎症をばらまいている状態ですので肌のエイジングが加速している状態です。

乳化されたクリームや乳液などのエマルジョンは皮膚バリアを弱くする

皮膚においても乳化されたエマルジョン化粧品は皮膚バリア機能を低下させ乾燥肌でない健康な人の肌からも水分を蒸発させます[4]。ではなぜクリームや乳液を使用して潤ったと感じるのでしょうか?それは加齢肌や乾燥肌、敏感肌など皮膚バリア機能が壊れて保湿成分が減っている人にはこれらクリームや乳液に含まれているセラミドなどの保湿成分で補われ潤うからです[4]。健康で綺麗な皮膚に対する効果と皮膚が荒れている人に対する効果が分かれるという報告は日常感じることであり興味深いです。しかし、毎日のようにクリームや乳液などのエマルジョンを使用していてはいつまでたっても素肌の皮膚バリア機能が年齢以上に低下したままで回復しないということになりますので皮膚の色や透明感がなくなっていきます。ですので乳化剤で乳化されたエマルジョン化粧品は洗顔フォームなどすぐに洗い流すことを前提にした製品で、洗い流したときに水道水中のミネラルで乳化作用(界面活性作用)が失われる石けんベースでできた製品以外はエイジングケアの観点からは良くないと考えられます。もちろん年齢以上に老化しないためのエイジングケアを考えずエマルジョン化粧品を使うのであればこの記事は関係ありません。

 【参考文献】

  1. Mucosal barrier, bacteria and inflammatory bowel disease: possibilities for therapy. Merga Y et al., Dig Dis. 2014;32(4):475-83. doi: 10.1159/000358156. Epub 2014 Jun 23.

  2. Emulsifying and emulsion-stabilizing properties of gluten hydrolysates. Joye IJ et al., J Agric Food Chem. 2014 Mar 26;62(12):2623-30. doi: 10.1021/jf5001343. Epub 2014 Mar 11.

  3. Surfactants enhance the tight-junction permeability of food allergens in human intestinal epithelial Caco-2 cells. Mine Y et al., Int Arch Allergy Immunol. 2003 Feb;130(2):135-42.

  4. Unexpected skin barrier influence from nonionic emulsifiers. Bárány E et al., Int J Pharm. 2000 Feb 15;195(1-2):189-95.

  5. Dietary emulsifiers impact the mouse gut microbiota promoting colitis and metabolic syndrome. Chassaing B et al., Nature. 2015 Mar 5;519(7541):92-6. doi: 10.1038/nature14232. Epub 2015 Feb 25.

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