皮膚バリア機能の低下と潤いを取り戻すエイジングケアについて

乾燥肌の原因である皮膚バリア機能の低下を回復させるにはどうしたらよいのでしょうか?この記事では皮膚バリア機能が低下する原因と乾燥肌になる原因を医学論文を参照しながら考察してみたいと思います。

潤いを保つ皮膚バリア機能

肌は一番上に死んだ細胞である角質細胞とセラミドなどからなる細胞間脂質で整然と重なった角質層、その下に顆粒層、そして一番下が基底層といって表皮を細胞分裂で増やす『幹細胞』とメラニン色素を作っている『メラノサイト』が並んでいます。

細胞分裂とともにだんだん上に押し上げられて行って顆粒層から角質層になっていきます。これがターンオーバーといって約28日かかる肌の新陳代謝です。肌は外からの細菌感染や毒素などが入ってい来ないようにする免疫組織というだけでなく内部の水分が蒸発して乾燥しないように守ってくれています。

皮膚バリア機能の低下が起きる場合、まず一番上の角質層に問題があります。角質層は死んだ細胞ですが天然保湿因子(NMF)というアミノ酸群が含まれており[1]、水分を吸着して肌の潤いを保持します。天然保湿因子(NMF)はPCA(ピロリドンカルボン酸)をはじめとする多くのアミノ酸でできています。上皮細胞が角質細胞に分化して皮膚表面に上ってくるときに『フィラグリン』というタンパク質が分解されてできます。当然この天然保湿因子が減ると乾燥肌になっていきます。また、肌の水分が十分にないと細胞が正常に機能しないため美肌にも保湿は大切です。

天然保湿因子を減らす原因の一つに乳化剤(特に合成界面活性剤)でできた化粧品を毎日使うスキンケア習慣があります。乳化剤とは水と油を混ぜ合わせる成分で洗顔剤やクレンジング剤、乳液やクリームも含まれます。特に刺激性がある合成界面活性剤は、天然保湿因子(NMF)の角質層レベルの低下を引き起こすことが知られています[5][6]。

角質細胞の天然保湿因子とともに角質細胞の周囲には『細胞間脂質』といってセラミドや脂肪酸、コレステロールが規則正しく2重構造(ラメラ構造)をつくって詰まっています。細胞間脂質もまた水分が出ていかないよう乾燥を防いだり外部からの異物や毒物が入らないようバリア機能の働きがあります。

角質層の一つ下にある顆粒層では細胞同士が『デスモゾーム』というタンパク質で互いに結合しています。このデスモゾーム結合もまた皮膚バリア機能を高めています。紫外線がデスモゾームを破壊するため紫外線対策が皮膚バリア機能の健康にも重要です。

肌バリア機能が低下するスキンケア

乳化剤(特に合成界面活性剤)を使っていると乾燥肌になる

乳化剤(界面活性剤)を使用した乳化化粧品や洗剤はすべて肌のバリア機能を低下させ細胞間脂質までもが溶け出して皮膚バリア機能が壊れていきます。特にコンビニで買えるような合成界面活性剤でできた洗剤は安価に効率よくメイクや皮脂などの油汚れを落としたい人なら使えばいいでしょうが年齢以上のエイジング(老化)を避けたい人は徐々に生活から減らしていくことをおすすめします。中には弱酸性と書かれて『安全』と謳っているものまでありますが弱酸性の洗剤は必ず合成界面活性剤で出来ていますので肌のバリア機能を壊して乾燥肌や敏感肌にさせます。同様に乳液やクリーム(エマルジョン)も水と油を混ぜて乳化させるため肌のバリア機能が低下します。合成界面活性剤は石けんと異なり水道水中のミネラルで界面活性作用が失われませんので皮膚の保湿成分を溶かす作用が強いのです。

さらに合成界面活性剤がよくないのが合成界面活性剤は皮膚の細胞にとって毒性があるため肌の内部に浸透して活性酸素を増やし肌のエイジングを加速するからです。特に毛穴は浸透しやすく合成界面活性剤を使用している人の皮膚は薄くなって毛穴が漏斗状に広がって目だっています。これは毛穴周囲で細胞の数や組織のボリュームが特に減ったことを示唆しています。合成界面活性剤は筋層まで達するほど(約6mm)深く染み込んでいくことがわかっており細胞毒性があるため活性酸素を増やします[4]。活性酸素が増えると幹細胞のDNAに傷をつけ細胞分裂を止め一時的ではなく永久に分裂しない老化した細胞になることも報告されています[3]。

パラベンなどの合成防腐剤で皮膚バリア機能が低下する

市販の多くの化粧品には防腐剤としてパラベンやフェノキシエタノールなどの合成防腐剤が使われています。製品の保存期間の延長を目的とするならパラベンでも酸化銀でも配合すれば安価に確実な防腐効果が得られます。しかし、エイジングケア化粧品としてはどうでしょうか?皮膚に住んでいる悪玉常在菌の『黄色ブドウ球菌』は健康な肌に肌荒れを引き起こす細菌です。この菌は抗菌剤や防腐剤などを日常的に使用していると自身のDNAを変化させ環境に適応しようとする能力が高いことで知られています。皮膚には異物を排除しようとする能力がありますが、黄色ブドウ球菌は自身のDNAを変化させることでそれすら適応して角質層に付着する能力を獲得することも知られています。パラベンなどの薬剤耐性を持つと『交差耐性』といって他の抗生物質や防腐剤にも耐性を持つようになるため自分のためだけでなく免疫が弱っている人や手術した人のため、また、地球上の動物のためにも少しずつ合成防腐剤を減らしていきましょう。

さらにパラベンなどの合成防腐剤は内分泌かく乱物質であり細胞毒性もある物質です。それが皮膚から浸透して尿から排泄されますので肌の生きた細胞にも直接触れることになります。細胞を老化させ肌にハリがなくなる原因が活性酸素の増加ですが、パラベンなど合成防腐剤が体内に増えていると活性酸素と炎症も増えることが知られています。

これらの理由から年齢以上に肌を老化させたくなかったら、なるべくパラベンなどの合成防腐剤や抗菌剤は使わず乳酸菌などの菌が産生する天然の防腐剤バクテリオシンで防腐された化粧品を使うようにすることをエイジングケアの観点からはお勧めします。バクテリオシンは耐性菌を生みにくい天然の防腐剤ですでにエイジングケア化粧品のなかにはこのバクテリシオンを使った化粧品も存在します。

また、角質の天然保湿因子(NMF)を減らさないためにも合成防腐剤が入っていない化粧品のほうがいいです。合成防腐剤として化粧品に配合されているメチルクロロイソチアゾリノン(MCI)/メチルイソチアゾリノンは、合成界面活性剤のラウリル硫酸ナトリウム(SLS)と同様にNMFレベルを有意に低下させ乾燥肌にさせます[5]。

皮膚バリア機能を回復させるスキンケア

最も酸化しにくいホホバオイルで保湿する

肌のバリア機能を回復させるために安全な保湿剤で保湿しましょう。先ほど説明した天然保湿因子(NMF)や飽和脂肪酸でできた酸化しにくいホホバオイルの主成分である『ワックスエステル』でできた保湿液は安全性が高くおすすめです。エイジングケアをするなら保湿液も酸化しにくいものでないと逆に肌を酸化して老化していきますので。

天然保湿因子(NMF)を補給する

老化して少なくなった天然保湿因子(NMF)を補うことも有効です。皮膚から水分が蒸発していくのをワックスエステルで防ぎながら天然保湿因子で皮膚の水分を補給するのです。ワックスエステル同様、天然保湿因子は角質細胞に本来含まれる保湿成分であるため安全な保湿液化粧品成分と言えます。

紫外線を浴びないようにする

日常生活では日傘やフェイスカバーなどで物理的に紫外線に当たらないようにして幹細胞やデスモゾームへのダメージを減らすことも肌のバリア機能の回復には欠かせません。日傘が使えないときにはビタミンC誘導体ビタミンE誘導体、ポリフェノールは紫外線をカットしながら抗酸化力で活性酸素から守ってくれます。

【参考文献 】

  1. Lowering relative humidity level increases epidermal protein deimination and drives human filaggrin breakdown. Cau L et al., J Dermatol Sci. 2017 May;86(2):106-113. doi: 10.1016/j.jdermsci.2017.02.280. Epub 2017 Feb 20.

  2. Appearance benefits of skin moisturization. Jiang ZX et al., Skin Res Technol. 2011 Feb;17(1):51-5. doi: 10.1111/j.1600-0846.2010.00462.x. Epub 2010 Aug 16.
  3. Four faces of cellular senescence. Rodier F et al., J Cell Biol. 2011 Feb 21;192(4):547-56. doi: 10.1083/jcb.201009094. Epub 2011 Feb 14.
  4. Sodium Lauryl Sulfate Stimulates the Generation of Reactive Oxygen Species through Interactions with Cell Membranes. Mizutani T et al., J Oleo Sci. 2016 Dec 1;65(12):993-1001. Epub 2016 Nov 9.

  5. Effect of allergens and irritants on levels of natural moisturizing factor and corneocyte morphology. Koppes SA et al., Contact Dermatitis. 2017 May;76(5):287-295. doi: 10.1111/cod.12770. Epub 2017 Mar 14.
  6. Skin barrier disruption by sodium lauryl sulfate-exposure alters the expressions of involucrin, transglutaminase 1, profilaggrin, and kallikreins during the repair phase in human skin in vivo. Törmä H et al., J Invest Dermatol. 2008 May;128(5):1212-9. Epub 2007 Nov 15.

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