肌の免疫と皮膚常在菌の関係

目には見えませんが皮膚上には肌に良い菌も悪い菌もたくさん住んでいます。このような常在菌は免疫機能に関わっているため、この記事では肌の上で生活している皮膚常在菌の免疫機能と肌のエイジング(老化)への影響について医学論文を参照しながら考察してみたいと思います。

皮膚常在菌とは

皮膚の表面にはブドウ球菌、コリネバクテリウム、プロピオニバクテリウム、ミクロコッカス、ストレプトコッカス、ブレビバクテリウム、アシネトバクテリウムおよびシュードモナスなど善玉菌も悪玉菌も一緒に多様な常在菌が住んでいます。肌の善玉菌と言えば『表皮ブドウ球菌』で角質と協調しながら皮膚免疫力を高め悪玉菌『黄色ブドウ球菌』の繁殖を抑えています。皮膚にはどんな細菌でも住めるわけではなく、腸内で腸内細菌をIgA抗体で住める細菌を選択しているように肌でも上皮細胞が感染予防のために抗生物質を放出して選択しています。つまり角質細胞の免疫システムが皮膚常在菌を選んでおり、先ほど述べた表皮ブドウ球菌が上皮細胞にシグナルを送って免疫の調節を行っているのです。

しかし私たちが毎日スキンケアで使用する洗顔剤や美容液などの化粧品やハンドソープに抗菌剤や防腐剤として配合されているパラベンやトリクロサンなどの合成防腐剤は悪玉皮膚常在菌『黄色ブドウ球菌』のDNAを変化させ薬剤耐性など細菌の特性を変化させる要因になっています。

皮膚常在菌同士または角質細胞との関係

以前は常在菌である悪玉菌の黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は洗顔やクレンジング後の一時的な皮膚常在菌のバランスが崩れた時に増殖して皮膚病や炎症を起こすと考えられていましたが、現在は黄色ブドウ球菌は健康な肌でも普通に肌荒れを起こす悪玉皮膚常在菌であることが知られています。

黄色ブドウ球菌と表皮ブドウ球菌は互いに戦いあう関係にあることは以前から知られていました。現在ではその仕組みも詳しく調べられており、表皮ブドウ球菌によって分泌された『セリンプロテアーゼEsp』や『agr遺伝子』由来のフェロモンによって皮膚上で悪玉の黄色ブドウ球菌の増殖を抑えるために戦っています。また、上皮層には上皮細胞、ランゲルハンス細胞、Tリンパ球、マスト(肥満)細胞などがいて、皮膚常在菌に影響を与えるサイトカイン、ケモカイン、βデフェンシン、RNase7、および他の抗菌性ペプチドを産生しています。

このように皮膚常在菌が皮膚の免疫をコントロールし、それによって悪い菌による肌荒れから守っているのです。パラベンやフェノキシエタノールなどの合成防腐剤が黄色ブドウ球菌のDNAを変異させるリスクがあるため、代わりに乳酸菌が作り出した天然の抗生物質(バクテリシオン)が配合されたエイジングケア化粧品も売られています。バクテリオシンは乳酸桿菌、プロピオン酸菌などによって産生される抗菌成分で、他の病原性がある細菌(例えば、黄色ブドウ球菌)の増殖を阻害することができます。しかもパラベンなどの合成防腐剤と違って瞬時に殺菌するため耐性菌を生むリスクが非常い低いとされる天然防腐剤です。

乳酸菌以外のバクテリシオンでもラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)のバクテリオシンであるナイシンは、一般にブドウ球菌感染によって引き起こされる乳腺炎を軽減することが示されています。このような理由からバクテリシオンはパラベンやトリクロサンなどの合成防腐剤の代りに肌に優しいエイジングケア化粧品に使われる天然の防腐・抗菌成分となっています。

生活習慣や職業による皮膚常在細菌叢の違い

余談になるかもしれませんが、日常生活をどのように送っているかも皮膚常在菌叢に影響を与える可能性があります。例えば、密接な関係がある個人や通勤ルート、職業や趣味、学校や保育施設での交流はすべて、皮膚微生物の広がりに影響する可能性があります。

洗顔、手洗いの害

合成界面活性剤や合成防腐剤の入った洗剤で手洗いや洗顔などをすると角質バリア機能を低下させるため善玉菌である表皮ブドウ球菌が皮膚とコミュニケーションする際に障害が生じて皮膚免疫に悪影響を与える可能性があります。しかも黄色ブドウ球菌が繁殖するのは角質バリア機能が低下したためであることも知られており、黄色ブドウ球菌が繁殖した結果さらに皮膚バリアが破壊されていくため悪循環に陥るというわけです。このような理由から2016年にはアメリカの厚生労働省にあたるFDAが抗菌ハンドソープや化粧品類に配合されてきた抗菌成分の一部の成分を製品として使用することを禁止しましたし、日本でもほぼ同時期にスーパーやドラッグストアの棚から忽然と姿を消しました。

【参考文献】

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