自然な老化によるたるみや深いシワだけでなく紫外線を毎日のように浴び続けたりタバコ(喫煙)歴が長いなど仕事やライフスタイルでもたるみや皺(シワ)のでき方に差があります。今回の記事は、なぜ老化で顔がたるみ、深いシワが現れてくるのか、医学論文を参照しながら考察していきたいと思います。
目次
たるみと深い皺(しわ)の原因
肌の弾力性(形状記憶性)の低下
顔の皮膚や唇などはすべて重力の影響を受けています。若いころは重力によって下に引っ張られる力に抵抗する弾力性がありますので肌が伸びてもまたもとの位置に戻るため、たるんだままになることはありません。
深い皺は表情皺のように深い筋層まで食い込んでいることが多いため化粧品の塗布による皮膚だけからのアプローチだけでは難しいと考えられます。
たるみや深いシワを増やす生活習慣とは?
皮膚がたるんでも戻るバネのような力を発揮するのが真皮にある『弾性繊維』で同じく真皮にある『コラーゲン繊維』は真皮の量を増し、共に肌にハリを与える働きがあります。
まず、紫外線をなるべく浴びないことやタバコ(喫煙)はしないことです。紫外線やタバコは活性酸素と炎症を増やすことでコラーゲン繊維や弾性繊維を分解する『MMP』といった分解酵素を増やし、たるみと深い皺の原因になっています。同時に『エラスターゼ』酵素も増えて弾性繊維が破壊されていきます。紫外線を浴びて壊れた弾性繊維は修復する時に硬い『弾性繊維症』という牛皮のような不規則な弾性繊維の塊をつくってしまうことで弾力性を失いしだいにたるみがひどくなります。
また糖化もたるみの原因で、糖化は酵素を必要としない反応(メイラード反応)ためどんどん反応が進行していきます。糖化最終産物(AGEs)という老化促進物質に変わり活性酸素を増やし、コラーゲン線維同士をつなげて(架橋)ハリを失わせ硬くしてしまうためたるみの原因となっています。
たるみや深いシワを予防する食べ物
たるみや深いシワを予防する食べ物としてビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなどの抗酸化力の高いサプリや野菜を多く食べることはたるみ対策に有効と考えられます。これらは活性酸素を消去する能力がありますし、ビタミンCはコラーゲン繊維を増やすためです。紫外線対策にもなるビタミンEは抗酸化作用とUVカット作用があるため紫外線によるたるみ対策に有効です。
またコラーゲン繊維を加水分解で小さな分子にまで切った低分子コラーゲンもコラーゲン繊維を増やす生理活性を持っていることが判明したため摂取すると皮膚のたるみ改善に有効かと思います。
たるみや深いシワ対策のエイジングケア化粧品
たるみ対策の化粧品としてはビタミンC誘導体とビタミンE誘導体が配合された美容液があります。ビタミンC誘導体は皮膚に浸透する作用が強化されており皮膚の中で『フォスファターゼ』という酵素で少しずつ分解されてビタミンCを放出します。ビタミンCはコラーゲン繊維を増やす作用と抗酸化・抗炎症作用を持っているため日々の活性酸素ストレスによる肌のたるみ対策には有効な化粧品成分と言えます。
他にコラーゲン繊維や弾性繊維を増やすレチノイド(ビタミンA)を配合した美容液もありますがレチノイドは灼熱感や赤くなるなど刺激が強いので継続使用を断念する人も多い成分です。このようにレチノイドはエイジングケア成分として優れた効果を持っていますが、その刺激や不快感があるため他のレチノイド様の効果を持っている植物エキスを配合した美容液もあります。南米や沖縄に広く分布しているビデンス・ピローサというキク科のハーブはレチノイド受容体のうちRXRという核内受容体に結合する成分が含まれているため肌のハリの回復やシワが目立たなくなる作用などが報告されています。
たるみや深いシワ防止にマッサージはどうか?
また、マッサージ器が生み出す75Hzの振動でも真皮のコラーゲン繊維を増やし顔のしわや首のたるみが改善されたと報告されています[1]。もっとも、先ほど述べたような美容液やクリームを使用してマッサージしています。レーザー治療やヒアルロン酸注射などの『フィラー』は美容外科や美容皮膚科などのクリニックではたるみやしわ取りに日常的に使用されています[2][3]。
靭帯や筋膜の弾力性の低下
皮膚は頭蓋骨に『靭帯』でつながって頭蓋骨の上に漂っています。例えるなら海藻が水の中で浮いているようなものです。この靭帯は『SMAS』という広い表情筋膜や皮膚を頭蓋骨とつなげている『アンカー』 の役割をしています。靭帯や筋膜にも弾性繊維が含まれているため弾性繊維が少なくなったり劣化してくると筋肉の重みを支えられなくなり、たるみやシワの原因になります。
顔は靭帯がある場所も特徴的で靭帯の部位は顔に線で描かれたように模様ができていることが特徴的です。一般に皮膚や脂肪がたるんだり余ったりするとこの靭帯でくびれてたるみやしわが現れます[4]。この靭帯自体も皮膚と同じコラーゲン繊維でできていますので肌の老化の原因である『活性酸素』や『炎症』レベルが高いとコラーゲンも酸化されたり『MMP』やエラスターゼといったタンパク質の分解酵素も発生し弱っていきます。その結果皮膚やSMASを支えきれなくなりたるみができる原因となります。美容外科で行われている『リフトアップ』手術とよばれているたるみ取りの究極のような手術ではこれら靭帯やSMASも含め皮膚を外科的に引き上げることが行われています。
表情筋の衰え
先ほども述べましたが表情筋膜のSMASは表情筋にくっついています。ですので上唇挙筋や大頬骨筋などの重力に逆らって上に引き上げる表情筋の筋力が低下してくるとSMASもたるむため一緒に上に乗っている皮膚にもたるみが生じてきます。
そこで、たるみ対策で簡単な方法として『表情筋トレーニング』によるリフトアップがあります。表情筋のなかでも大頬骨筋や小頬骨筋といった顔の皮膚をリフトアップするような方向に走っている表情筋を鍛えるのがたるみ対策に有効です。具体的なトレーニング方法として、『スマイルトレーニング』を鏡に向かってやることでこれらのリフトアップに関わっている表情筋を鍛えることができます。
歯並びやホワイトスポットなど口腔内のコンプレックスが原因であまり笑わないで生活してきた人は無表情になりがちですがこのような上に引き上げる表情筋が使われず萎縮してくるためたるみやすくなります。
【参考文献 】
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