昔からイライラしてストレスをため込んでいる人は早く老けるなどと言われてきました。本当にストレスが多いと肌のエイジング（老化）を加速してしまうのでしょうか？興味がわきましたので医学論文を参照しながら考察してみたいと思います。
目次
ストレスで肌が老化するの？
ストレスホルモンが出ることによる肌への影響
ストレスを感じると脳から副腎皮質に対してストレスに対処するための信号（ホルモン）が送られます。それが『コルチゾール』と『アドレナリン』です。どちらも活性酸素を発生させるため肌の老化を加速する原因です。ストレスが慢性的に感じるような生活環境ですとコルチゾールが出っぱなしになり次第に表皮が薄くなり、コラーゲン繊維やそれを合成している線維芽細胞の数も減っていきます[1]。コラーゲン繊維は真皮を構成して肌のハリを保っていますのでコラーゲン繊維が少なくなるということはしわやたるみの原因になります。もうひとつのストレスホルモンであるアドレナリン（エピネフリン）も真皮のコラーゲン線維を減らすためアドレナリンの出っぱなしも肌の老化を加速します。アドレナリンも活性酸素で肌の細胞のＤＮＡにダメージを与えるため肌にとって毒でもあるのです[1]。さらにアドレナリンは交感神経を活性化させて血管を収縮させて肌の血行が悪くなるため酸素と栄養が行き渡りにくくなり肌の皮膚のバリア機能やハリの低下、くすみなどの肌の老化が生じます。
脳‐皮膚連関とは
このように精神的ストレスから脳からストレスの信号が送られ結果として肌に影響を与える仕組みを『脳-皮膚連関』と呼んでいます。さらにコルチゾールやアドレナリンは血糖値を上げるため糖化による肌の黄ばみやコラーゲン繊維の架橋で皮膚が硬くなるなど年齢以上の肌の老化にもつながります。糖化したタンパク（ＡＧＥｓ）はそれ自体が活性酸素を生み出すためさらに肌が老化していくのです。
乾燥肌になる
ストレスは肌の保湿成分を減らして乾燥肌になっていく原因でもあります。細胞間脂質の『セラミド』や天然保湿因子（ＮＭＦ）のひとつ『ピロリドンカルボン酸（ＰＣＡ）』がストレスで減り、乾燥肌になっていくことが報告されています[1]。さらにストレスで表皮のターンオーバーが遅くなったり、角質の一つ下の層『顆粒層』の細胞が互いに結合するためのタンパク質『デスモゾーム』も減って皮膚バリア機能が低下していきます[1]。実際、かなりのストレスと考えられる学生の最終試験のストレスで皮膚バリアの低下による乾燥が観察されています[1]。
肌に炎症が起こる
ストレスで肌に炎症が起きることも報告されています[1]。『炎症性サイトカイン』という炎症を引き起こす物質が増えるのですが、ストレスを受けるとこれらの炎症性サイトカインが増えます。炎症が起こると必ず活性酸素が発生しますから肌の老化を加速する原因と考えることができます。逆にストレスホルモンで活性酸素が発生すると炎症が起こるため活性酸素による老化の負のスパイラルに陥ることになります。
肌を老化させないための簡単なストレス解消法
笑顔を作る
楽しくなくても口角を上げてスマイルの表情を作るだけでストレス解消になるのです。表情筋が上に引き上げられると脳は『今ストレスがない幸せなんだ！』と勘違いして副交感神経を優位にしますので、ぜひお試しください。
鼻で深呼吸する
笑顔を作るのと同じくらい簡単なストレス解消法が鼻で２，３回深呼吸をすることです。人間の正常な呼吸は鼻呼吸ですので思いっきり鼻で吸って吐いてを繰り返してください。
クラシック音楽を聴く
クラシック音楽はストレスを軽減する効果が認められています。『モーツァルトのK.448』はストレス解消になると報告があります。
有酸素運動をする
また有酸素運動でもストレスを緩和できます[2]。ヨガはメジャーな有酸素運動ですがリラックス効果があり肌の老化防止に有効な運動と考えられます。
【参考文献】
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