肌の糖化(グリケーション)対策の化粧品

肌の老化は『活性酸素』と『糖化(グリケーション)』が大きく関係しています。糖化は糖質をたくさん食べる人に起こりやすく、くすみの原因ともなっています。この記事では肌の老化の原因の一つである『糖化』について化粧品で糖化対策が可能かどうかを医学論文とともに考察をしてみたいと思います。

糖化で肌のエイジングが加速するしくみ

糖化で活性酸素が増え活性酸素で糖化が促進される

実は活性酸素も糖化もお互いを増強しあう関係にあります[5]。つまり、糖化した皮膚のコラーゲンが老化の原因である活性酸素を増やし、逆に活性酸素がコラーゲン繊維の糖化を促進するのです。下の図でAGEs(終末糖化産物)がAGEsの受容体(RAGE)に結合すると活性酸素(ROS)を発生させ炎症を引き起こすと同時に活性酸素がAGEsを促進することを示しています。

糖化と活性酸素の相互増強のシェーマ Sick E et al. [5]

タンパク質の糖化が進むと最終糖化産物(AGEs)という物質に変わります。老化の観点から肌の糖化でまず守らなければならないのが『幹細胞』です。表皮幹細胞は基底層という表皮の一番下にいて細胞分裂して皮膚を厚くしてハリを保ったりターンオーバーを行っています。

さらに真皮中にもコラーゲン繊維を作る線維芽細胞の幹細胞がいますし、上皮幹細胞は基底膜上だけでなく毛穴から浅いバルジ領域という部位に固まって存在していることも判明しています。AGEsはこれら幹細胞を殺して数を減らしてしまう[1]ため、ハリがなくなりシワが増え、ターンオーバーの遅れからメラニン色素が垢として排泄されずにシミも増え、くすみと肌の滑らかさが失われます。さらに先ほども述べたように糖化が進むと活性酸素も増えるため皮膚幹細胞の老化も加速して年齢以上に肌が老化してしまうのです。

糖化は年齢と肥満によって進む

糖化の度合は40歳以下では肥満度(BMI)との相関が強く現れ、40歳を超えてくると年齢との相関が強くなる傾向が報告されています[4]。糖化が進むとコラーゲン繊維の架橋で皮膚の弾力性が低下して硬くなってきますが、皮膚弾力性の低下と糖化度との相関があります。ちなみに糖化は皮膚の黄ばみの一因でもあります。

糖化対策のエイジングケア化粧品成分

ビタミンCは糖化対策になる

先ほども述べましたがAGEは活性酸素を増やし活性酸素がAGEを増やすため肌の糖化対策の化粧品には抗酸化作用がある成分が配合されています。たとえばビタミンC(アスコルビン酸)は水に溶ける抗酸化剤ですが、ビタミンCは活性酸素を減らし糖化を防ぐ作用があります[2]。ですのでビタミンC誘導体化粧品は糖化対策の化粧品ということができます。

糖化対策に効果が期待できる植物エキス

その他にも糖化対策の化粧品成分には植物由来の抗糖化成分が多く含まれています。その中の一つオオバコから抽出されたエキスは糖化を抑制する作用がビタミンCに匹敵するとの報告もあります[3]。

 【参考文献】

  1.  Advanced glycosylation end product promotes forkhead box O1 and inhibits Wnt pathway to suppress capacities of epidermal stem cells. Zhu J et al., Am J Transl Res. 2016 Dec 15;8(12):5569-5579. eCollection 2016.

  2. Ascorbic acid, glycation, glycohemoglobin and aging. Krone CA et al., Med Hypotheses. 2004;62(2):275-9.
  3. Glycation inhibitory activity and the identification of an active compound in Plantago asiatica extract. Choi SY et al., Phytother Res. 2008 Mar;22(3):323-9. doi: 10.1002/ptr.2316.

  4. Glycation associated skin autofluorescence and skin elasticity are related to chronological age and body mass index of healthy subjects. Corstjens H et al., Exp Gerontol. 2008 Jul;43(7):663-7. doi: 10.1016/j.exger.2008.01.012. Epub 2008 Feb 9.

  5. Advanced glycation end products (AGEs) activate mast cells. Sick E et al., Br J Pharmacol. 2010 Sep;161(2):442-55. doi: 10.1111/j.1476-5381.2010.00905.x.

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