肌のハリを与えるエイジングケア化粧品

加齢で肌が老化してくるとハリがなくなってシワやたるみが増えてきます。自然な老化は止められませんが、化粧品や美容液を使ったり紫外線対策などで年齢以上にハリが失われるのを防ぐことができます。この記事ではハリを与える化粧品とはどのようなものなのかについて医学論文を参照しながら考察していきたいと思います。

肌のハリが失われる原因

老化には加齢による自然な老化からくる肌のエイジング(老化)と、日光老化や大気汚染物質、排気ガスなど環境からくる年齢以上の肌のエイジングの2つがあります。自然な老化からくるハリの衰えはだれにでも起こり止められないものですが、年齢以上の老化は、原因となっている習慣を改善することでハリが失われるのを最小限にすることができます。

肌のハリがなくなりたるみやシワが生じる仕組みにはいくつかありますが大きく分けて

  1. 肌の内側の内容物が減ってボリュームが減ってしまうことと
  2. 皮膚が元に戻る力が弱まること(形状記憶性の低下)

が原因です。

内側のボリュームが減るとハリがなくなる

まず肌にハリを与えるボリュームを構成するものはどのような組織があるかをみていきましょう。表面から順に、角質が存在する上皮層の厚み、真皮のコラーゲン繊維などの『細胞外マトリックス』、皮下の脂肪組織、表情筋や咀嚼筋、一番内側に骨がありすべて肌のボリュームに現れてきます。ところが加齢による自然な老化だけでなく紫外線を毎日浴びる、合成界面活性剤や合成防腐剤などの活性酸素を増やす化粧品を使う習慣があると老化した幹細胞が増え分裂しなくなったり、炎症も起こるため皮膚のボリュームが減っていきます。

もっとも肌のボリュームに影響を与える真皮ではコラーゲン繊維は一年で約1%づつ減っていきます。同じく細胞外マトリックスであるヒアルロン酸に関しては、真皮のヒアルロン酸は比較的保たれていますが表皮のヒアルロン酸が減っていくため表皮ヒアルロン酸も老化に伴う乾燥肌の一因となっています。ヒアルロン酸は水分を吸収するとかなり膨張するためヒアルロン酸が減ることは肌のボリュームが減りハリがなくなる原因でもあります。

皮下組織においても年齢とともに脂肪や筋肉が痩せても皮膚の内側のボリュームが少なくなり肌のハリが失われていきます。また、骨密度も低くなり筋肉とともに骨も痩せていきます。

合成界面活性剤で洗っていると皮膚が薄くなる

合成界面活性剤でできたクレンジング剤や化粧品(乳液やシャンプーなど)を毎日使用していると活性酸素による細胞毒性があるため、表皮と真皮が薄くなるためハリがなくなっていきます。合成界面活性剤は界面活性(乳化作用)があるため皮膚から容易に浸透して細胞分裂で皮膚を増やし肌のボリュームを保ってくれる幹細胞に活性酸素を発生させて分裂を停止させたり、真皮の細胞機能を劣化させコラーゲン繊維を減らします。炎症も増えますのでMMPやコラゲナーゼなどの分解酵素が増えコラーゲン繊維や弾性繊維を分解するためますます皮膚が薄くなっていくのです。

パラベンなどの合成防腐剤も不使用のほうが肌のハリが回復する

パラベンなどの合成防腐剤や抗菌剤は女性ホルモン様の内分泌かく乱物質で有名ですが、合成防腐剤は皮膚から浸透して全身をめぐって尿から排泄されます。さらに合成防腐剤自体に細胞毒性があり、尿中のパラベンなどの合成防腐剤の濃度が高い人は活性酸素と炎症レベルも高いことが判明しています[3]。繰り返しになりますが活性酸素は幹細胞へのDNAダメージだけでなくコラーゲン繊維などハリに関わるタンパク質を分解し、炎症を引き起こすなど老化を加速し肌のハリが年齢以上に失われる原因です。このようなことからエイジングケア化粧品には乳酸菌由来の天然の防腐成分『バクテリオシン』を用いて合成防腐剤不使用を実現している化粧品ブランドもあります。

重力に負けて垂れ下がるとハリがなくなる

皮膚にはそれ自体の重さがあります。この皮膚自体の重さに負けないで元に戻す弾力があればたるまないでハリを保っていられるはずです。皮膚のボリュームを出すのがコラーゲン繊維だとしたら元の位置に戻る力を与えてくれるのが弾性繊維なのです。弾性繊維は形状記憶の線維で真皮、腱、筋膜などの構成成分です。

この弾性繊維も加齢とともに減って元に戻る力を失っていきますが、紫外線を浴びると弾性繊維症という硬い弾性繊維の塊ができてしまい、形状記憶の力が失われます。その結果肌にハリがなくなり毛穴もたるんだまま開きっぱなしになるので縦長の大きめの毛穴が目立ってくる原因ともなっています。また、先ほど述べたように老化細胞が増えSASP現象で炎症が増えると好中球がエラスターゼを分泌するため弾性繊維が溶けてなくなっていきます。

ハリを与えるエイジングケア化粧品・美容液とは

これまでみてきたように肌にハリを与えるための生活習慣としては

  1. コラーゲン繊維を増やす
  2. 炎症と活性酸素を抑える
  3. 上皮幹細胞の分裂(ターンオーバー)を促進する
  4. 保湿して潤いを与える

が皮膚のボリュームを増やし弾力性を保つ有効なエイジングケアと言えます。ですのでこれらに効果がある化粧品はハリの回復に有効なエイジングケア化粧品であると考えることができます。

コラーゲン繊維を増やす化粧品成分

ビタミンCはコラーゲン繊維を増やすことが昔から知られています。ただ、ビタミンCをそのまま肌に塗布するのはおすすめしません。よく広告でレモンやキュウリの輪切りを目や顔に張り付けて顔をパックしているイメージ写真がありますが、ビタミンCは強力な抗酸化剤であるため空気中の酸素で簡単に酸化されてしまい皮膚に浸透する前にそれ自体が酸化剤になって逆に肌に活性酸素を増やすのでエイジングケアにはあまりよくないのです。ですので化粧品として肌に塗るビタミンCはビタミンC誘導体にしなければ老化をさらに加速するということなのです。さらにビタミンCはコラーゲン合成を促進するだけでなく、紫外線や炎症で発生するコラーゲン繊維を切ってしまう『MMP(コラゲナーゼ)』の作用を軽減してくれるため肌の厚みが増し、ハリの改善ができます。

ビタミンC誘導体で浸透性を高めたものが『APPS(アプレシエ)』です。このビタミンC誘導体は空気中の酸素で酸化されにくいだけでなく皮膚に浸透しやすい化学構造になっています。そして皮膚内で酵素の『フォスファターゼ』という酵素で分解されて徐々にビタミンCを放出するという特徴があります。このビタミンCはコラーゲン繊維を増やす効果が昔から知られているためハリを回復する化粧品や美容液に使われています。

もう一つコラーゲン繊維を増やしてハリを与えることが可能な化粧品といえばレチノイド(ビタミンA)でしょう。レチノイドは上皮幹細胞の分裂を促進して上皮の厚みを増し真皮のコラーゲン繊維を増やすことで真皮の厚みも増す効果でハリを回復します。ただレチノールなどビタミンA配合の化粧品は刺激が強く灼熱感があり続けられない人がいることも事実です。そこで低刺激でレチノールと同様な作用でハリを回復する効果のある成分はないかと探した研究者がいてその結果、キク科のハーブであるビデンスピローサエキスがレチノール様のハリの回復効果があることが最近報告されています[1]。

炎症と活性酸素を減らす成分

先ほどのビタミンCは活性酸素や炎症も軽減する作用を持っていますし、ビデンスピローサエキス、ビタミンEも活性酸素と炎症を軽減する作用があります[5]。このビタミンEも空気中では酸化されやすいため誘導体の形で化粧品や美容液に用いられるビタミンE誘導体は『TPNa』が有名です。紫外線も炎症と活性酸素を増やしてハリが失われる原因ですので紫外線対策もハリの回復に大切で、先ほど挙げたビタミンE誘導体は紫外線を吸収する化学構造であるため紫外線が皮膚奥深くまで行くのを妨げてくれ、しかも抗酸化・抗炎症作用があるため紫外線対策になります。

ビタミンCやビタミンE単独よりも両方配合された化粧品を使用したほうが抗酸化力が高くなることが報告されています。これはレドックス(Redox)機構と呼ばれ体内の抗酸化ネットワークがあるため単独の抗酸化剤より複数の抗酸化剤をミックスすることでお互いを還元しあって再度抗酸化剤として利用できるようになるためです。

上皮細胞の分裂を促進する成分

細胞分裂に必要なものとしてビタミンCがありますのでビタミンC誘導体配合の化粧品で上皮のビタミンC濃度を飽和させておくことは上皮のターンオーバーをスムーズにすると考えられます。また、先ほどコラーゲン繊維を増やすビタミンAも上皮細胞の分裂を促進する作用があるためハリの回復に有効です。

保湿して潤いを与えることでハリを回復する成分

真皮内で水分を蓄えている細胞外マトリックスである『グルコサミノグリカン』や『ヒアルロン酸』は水分を吸収し膨張しますので皮膚バリアが壊れて水分が蒸発していってしまうとハリがなる原因です。保湿液としてはやはり空気中の酸素で酸化されにくい成分がエイジングケアの観点からはおすすめできます。酸化しにくい天然保湿オイルにホホバオイルがありますが、主成分であるワックスエステルは皮脂と同じ成分で無色無臭の透明な液体で飽和脂肪酸でできているため、もっとも酸化されにいオイルで。さらにワックスエステルが水分の蒸発を防ぐ保湿剤成分であるのに対し、直接水分を皮膚に与える成分(モイスチャライザー)も配合されているとさらに潤いが回復することになりますので、ヒアルロン酸や角質にある天然保湿因子(NMF)がモイスチャライザーとして含まれているとより肌が潤うことになります。

余談ですが、卵についている薄い膜(卵膜)もシワを改善するという報告があり[4]、卵膜の加水分解物を顔に塗ると活性酸素を減らし、真皮にあるグリコサミノグリカンを増やすことでハリを与えてシワを改善します。

【参考文献】

  1. Antiageing Mechanisms of a Standardized Supercritical CO 2 Preparation of Black Jack (Bidenspilosa L.) in Human Fibroblasts and Skin Fragments. Dieamant G et al.,Evid Based Complement Alternat Med. 2015;2015:280529. doi: 10.1155/2015/280529. Epub 2015 Mar 26.

  2. Effect of a novel ascorbic derivative, disodium isostearyl 2-O-L-ascorbyl phosphate on human dermal fibroblasts: increased collagen synthesis and inhibition of MMP-1. Shibayama H et al., Biol Pharm Bull. 2008 Apr;31(4):563-8.

  3. Associations between urinary phenol and paraben concentrations and markers of oxidative stress and inflammation among pregnant women in Puerto Rico. Watkins DJ et al., Int J Hyg Environ Health. 2015 Mar;218(2):212-9. doi: 10.1016/j.ijheh.2014.11.001. Epub 2014 Nov 18.

  4. Reduction of facial wrinkles by hydrolyzed water-soluble egg membrane associated with reduction of free radical stress and support of matrix production by dermal fibroblasts. Jensen GS et al., Clin Cosmet Investig Dermatol. 2016 Oct 14;9:357-366. eCollection 2016.
  5. Topical application of a novel, hydrophilic gamma-tocopherol derivative reduces photo-inflammation in mice skin. Yoshida E et al., J Invest Dermatol. 2006 Jul;126(7):1633-40. Epub 2006 Mar 16.

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